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介護・シニア
折り紙(中) 指先楽しく運動
折り紙は、脳を刺激する指先の訓練に役立つとして、医療や介護の現場ではリハビリに活用されている。約15年前から導入しているという兵庫県尼崎市の関西ろうさい病院を訪ねた。
「昨日より折り目がはっきりして、きれいなかぶとに仕上がりましたね」。作業療法士が褒めると、入院中の同市内に住む西園学さん(77)は目を潤ませた。
右半身の機能回復を目指した折り紙の訓練は2回目。最初は紙をつかむ動作にも戸惑ったが、完成までの「折る」「ひっくり返す」「形を整える」など約10回の工程を5分間かけて仕上げた作品を手に「達成感が得られてうれしい。リハビリの励みになる」と笑顔を見せた。
同病院では年間数百人が折り紙を使い、体の機能回復訓練に取り組む。どんな経緯でスタートしたのかは記録に残っていないが、兵庫医科大大学院で手のメカニズムを研究して医学博士号を取得した作業療法士、中山淳さん(36)は「指でつまむ、線に合わせて折る、角をぴったり合わせるなど、楽しく指先の運動ができ、結果が作品として残る。線や文字を書いたり、はしで豆などをつまんだりする訓練では飽きやすいが、折り紙なら気分転換も図れる」と説明する。
折り紙の訓練に精を出す患者の中には、鶴やひな人形など、完成した作品をベッド脇の棚に並べている人も多く、見舞いに来る家族らに「ここまで回復した」と成果を見せているという。
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