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宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

日本は死ななくてもいいけど保育園に入れない

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日本は死ななくてもいいけど保育園に入れない

キックバイクを乗り回す娘です

 今週は寒の戻りで、とても寒いですね。とてもありがたいことに子どもたちは元気ピンピンなので、公園に連れて行って自分はじっと寒さに耐えるという感じです。娘は今週いっぱいで幼稚園が春休みです。子ども2人を連れて毎日どうしようという不安がわき上がりますが、なんのかんのといろんな人と子連れで遊ぶ計画が目白押しです。4年前に出産したころと違って、ママ友、育児グッズの貸し借りや情報共有、困った時に頼める人など、育児のインフラが整ってきて、「孤独な育児」という状態は減りました。

「保育園落ちた日本死ね!!!」ブログの問題提起

 さて、匿名の「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログがきっかけとなって、保育園の待機児童問題が国会その他で盛り上がっていますね。まさに自分がその渦中にいるので報道をチェックしているのですが、なかなか政府にはまっすぐ向き合ってもらえているとは言いがたいようです。

まずは、ブログが匿名であることで一蹴されかかりましたが、首都圏では実際に、どこにも入れない子どもがいることは歴然とした事実ですし、今まで数多くの人が実名で品の良い言葉遣いで問題提起してきたにもかかわらず、解決に本腰を入れてこなかったくせに何を言っているのかと思いました。

うちの息子も保育園決まらず……

 何を隠そう、うちの息子は当面、保育園に入れるめどが立っていません。娘は1月生まれで、息子は11月生まれ(出産予定日は12月)なので、4月入園だと早すぎると思い、公立や認可などは申請しませんでした。娘の時は、生まれてから近所にある無認可の保育園に問い合わせたら、半年程で入園できたので、今回は妊娠末期に問い合わせたところ、2017年4月からしか入園できないと言われました。

それでも例年だと、無認可を押さえておいて区立や認可に入れた人がキャンセルして枠が空くのでそちらに期待していたのですが、今年は区立や認可の倍率がすごかったらしく、逆に無認可にも申し込みが殺到している状況だそうです。一時預かりの枠でも入れないかと問い合わせましたが、そちらも無理とのこと。自宅と職場のまわりの保育園や託児所をしらみつぶしに当たりましたが、どこもダメでした。

料金が 莫大(ばくだい) になるため最後の (とりで) となっているシッター会社も、どこも応募が殺到しているとのことで、保育園に代わるほどの時間を預かってもらうのはなかなか難しいようです。

 そんなわけで、「夏休みまでのんびり時々働いて、秋くらいからフル復帰」という私の計画は危機にさらされています。実家も遠いし、もうどうしようもないので、何らかの形で状況が変わるのを待つ受け身の状態です。私の場合は状況が変わった時点で働き始めることが一応可能な職種ですが、こんな先の見えない状態では退職せざるを得ない人も多いことでしょう。現代日本では、大半の人にとって共働きは、自己満足でも 贅沢(ぜいたく) がしたいからでもなく、生活を成り立たせるためです(我が家も子どもが2人になったので保育や教育などにかかるお金が激増し、将来的には住居費も増えることが予想されるので大変です)。

少子化対策会議で繰り返された議論で、「産み育てながら働くことが可能にならなければ、子どもは増えない」というのは至極当たり前のことなのですが、

4年前よりも状況が悪化していることには、とてもがっかりしました。

待機児童の受け皿増と保育士の待遇改善、実のある議論を

 今回、あのブログがきっかけで、待機児童の受け皿を増やすことと保育士の待遇を改善することが話し合われています。保育士の待遇は間接的な要因だと思いますが、今までも問題視されながらも真剣に取り上げてもらえてこなかったので、これを機に実のある改善が行われることを祈ります(「叙勲」をもって評価するなどと首相が答弁したという報道にコケそうになりましたが、 (かすみ) を食っては生きられないので給料に反映させていただきたいです)。

受け皿については、子どものことを考えれば劣悪な環境では困るので一朝一夕に解決するのは難しいと思いますが、緊急措置としてベビーシッターのバウチャーを配るとか、何か策を講じてほしいと当事者として強く願います。

 保育園の議論になると、共働きは妻と夫の両方の問題であるはずなのに、なぜか母親ばかりが奔走します。「ワーキングマザーと専業主婦はどっちがいいか」という女同士の争いに議論をすり替えられ、せっかくの子育てに水を差されることになります。子ども1人1人の幸せのためにも、予算を子どもと子育てに使ってほしいですね。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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9件 のコメント

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親のワガママ

先生

保育士をしています。 偉い世の方達は色んなことをおっしゃいますが、子どもの幸せを考えたら親が育てるのが本当ではないですか? 預け放しで何もしない...

保育士をしています。
偉い世の方達は色んなことをおっしゃいますが、子どもの幸せを考えたら親が育てるのが本当ではないですか?
預け放しで何もしないのに文句ばかり。その上事故が起これば直ぐに劣悪な環境と言われる。
金払ってるんだからと横柄な態度。親の果たすべき躾も全て、保育士任せ。
本当に仕事は大切でしょうか?
2年3年我慢すれば子供は離れていきます。
親としての責任も果たさないまま、育児を保育士任せにし挙げ句の果てに文句ばかり。母親と呼べるのでしょうか?
女医さんやら議員さんは実情を知った上でお話しされているのか?
保育士になる人がいないのは給料が安いからではなく、ストレスの捌け口にされるながら嫌なんです。

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ゼロ歳児保育は大変。

アツキート

義理の妹が保育士をしています。子育て経験もありベテランで、「これは天職!」と、子供の安全と幸せを第一に楽しく働いているようですが、ゼロ歳児保育に...

義理の妹が保育士をしています。子育て経験もありベテランで、「これは天職!」と、子供の安全と幸せを第一に楽しく働いているようですが、ゼロ歳児保育に関しては不満を漏らしていました。

ゼロ歳からの方が入園しやすいから、との理由で、ゼロ歳から預ける方が少なからずいるようですね。ゼロ歳児のママなら一番おわかりだと思いますが、ゼロ歳児は手がかかります。3人のゼロ歳児を何時間も1人でなんて、いくらプロでも物理的に不可能だってわかりませんか? 例えば、ウンチのオムツ替えの時、他の2人の生死に責任持てますか?

結局、現場では、3、4歳児担当がゼロ歳児をフォローして、その結果、3、4歳児はほぼほったらかし、という解決策だそうです。3、4歳児の親からしたら、たまったものじゃないです。というより、保育料変えてほしいのでは?

そもそも大切な子供を育ててもらうのに、あんな安月給で任せることがおかしいです。三方一両損じゃないですが、税金からも少し、高収入の両親からも少し負担を増やしてもらって、今現在の保育士だけ損という歪んだ構図をあらためるべきです。保育士減るだけです。

ちなみに、私は子供を生み育てるために生まれてきたと信じていて、子供のそばにいるのが一番幸せで、全てを犠牲にしても1秒でも笑顔を見ていたいので、幼稚園にし、仕事は最低限におさえてきました。もちろんストレスはありますが、そこはプライドを捨てて夫や実家に甘えました。つらい時悔しい時は、「結局、他の人は〜君のママじゃないのよね、かわいそうに」と唱えてました。仕事は定年の無い、寝たきりでもできる仕事なので、これからいくらでもできますので。

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申し込みを!

保育園ママ

とりあえず認可園に申し込まないことには、入れるかどうか分からないと思います。 ちなみに私の住んでいる区は、共働き正社員、フリーはフルタイム勤務の...

とりあえず認可園に申し込まないことには、入れるかどうか分からないと思います。

ちなみに私の住んでいる区は、共働き正社員、フリーはフルタイム勤務の人は、8割は入れています。4月に入れなくても、毎月申し込みして、だいたい3カ月くらいで入れてます。その間は、認証または無認可に預けてますし、補助も出ますよね。

最初から「申し込まない」で入れないと言うのは、違うと思います。

ちなみに11月生まれで、1歳すぎると激戦と聞いていたので、0歳の4月に入れました。

本当に、認可園、認証園、無認可すべてに入れない方は、どんな属性の方なんでしょう?

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宋先生は、キャンセル待ちで確保されました

岩永直子(ヨミドクター編集長)

保育園ママさま  コメントありがとうございます。宋先生は続報を書かれていますが、もちろんキャンセル待ちの申し込みをされていて、無事確保できたよう...

保育園ママさま

 コメントありがとうございます。宋先生は続報を書かれていますが、もちろんキャンセル待ちの申し込みをされていて、無事確保できたようですよ。

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