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知って安心!今村先生の感染症塾

医療・健康・介護のコラム

ジカ熱感染、神奈川で報告…情報の再確認を

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「ブラジルから帰国の男性、ジカ熱に感染確認」(2月26日 読売新聞)

 

 神奈川県でジカ熱の感染が確認されました。今回の中南米での大きな流行が始まってからは国内で患者が確認されたのは初めてとなります。ジカ熱に関して知っておきたいことを改めてまとめておきましょう。

 

・感染しても症状が出るのは2割くらい

・ほとんどは軽症で自然に良くなる

・ワクチンや特別な治療はない

・一般的な病院の検査ではない(一部の検査機関のみ)

・決められた「症例定義」を満たした場合のみ検査する

・妊婦の感染で小頭症との関連が指摘されている

・通常は蚊によって感染する

・蚊の流行期でなければ二次的な感染は起こりにくい

・まれに性行為で感染することが報告されている

 

軽症が多く、潜伏期間も最大12日くらいあるので、水際作戦で防ぐ感染症ではありません。この感染症の特徴から、これからも輸入感染としての発生は増えていくことが予想されます。上記の内容をみればわかるように、かかっても普通は自然に良くなります。検査できるのも一部、そして特に治療薬もないのです。したがって、今考えられる対応は以下の通りとなります。

 

(1)輸入感染としての発生ニュースにあわてない。

(2)感染してしまった人を過剰に扱わない。

(3)流行地への旅行の際には、蚊に刺されにくい対策をしておく。

(4)妊娠の可能性のある女性、妊娠している女性は、流行地への渡航を避ける。

(5)診断された場合、感染の可能性がある場合は、性行為による感染予防をする。

(6)蚊が増える夏までに、できる範囲で国内での蚊の予防策を行っておく。

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今村顕史(いまむら・あきふみ)

がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長

石川県出身。1992年、浜松医大卒。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事している。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。著書に『図解 知っておくべき感染症33』(東西社)、『知りたいことがここにある HIV感染症診療マネジメント』(医薬ジャーナル社)などがある。また、いろいろな流行感染症などの情報を公開している自身のFacebookページ「あれどこ感染症」も人気。

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