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オトコのコト 医師・小堀善友ブログ

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コーヒーが精子に与える影響

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 皆さんに、毎朝の習慣はありますか?

 わたしは、目覚めた後に、必ずと言ってよいほど濃いコーヒーを飲みます。

 それがないと、一日が始まる気がしないのです。一口飲んだ後、大げさかもしれませんが、頭にビリビリっと刺激が走り、スッキリするような気がします。

 

 わたしは、かなりのコーヒー“中毒”で、日中でもちょくちょくコーヒーを飲みます。最近では、コンビニでも安くておいしいコーヒーが買えるようになりました。しかし、わたしの場合、いちいち購入すると結局高くついてしまうので、毎朝、熱いコーヒーを作って水筒に入れ、それを仕事場の実験室に持参しています(もしシカゴに来られるご予定がある方は、ダウンタウンに「インテリジェンシア」というおいしいコーヒー屋さんが数軒あるので、一度トライしてみることをお勧めします)。

 

コーヒーが精子に与える影響

 医学的にも、コーヒーに含まれるカフェインは精神神経的に働き、集中力を高めることで有名ですが、そのほかにも体に及ぼす影響に関して様々な研究があります。

例えば、

 ・ダイエットの効果がある

 ・糖尿病を予防する

 ・ある種のがんを予防する

  などなど……

 

 一方で、わたしの専門分野の不妊症にもカフェインが作用することが明らかになってきました。

 ライフスタイルと妊娠・出産の関係を調べた調査によると、カフェインの摂取は女性の流産率を高めたり、胎児にも影響を及ぼす可能性があることが知られています。ただし、全く飲んでいけないわけではないらしく、少量の摂取であれば問題ないようです。

 

 男性ではどうでしょうか? 近年、カフェインを摂取することで精子にどのような影響があるのかを調査した研究があります。とても不思議ですが、精子の運動性が高まるという結果が報告されていました(ちなみに、全く反対の結論を出していた別の研究もありました)。

 

 わたしのアメリカ人の知り合いで、精子の動きを研究しているドクターがいるので、このことについて聞いてみたことがあったのですが、彼女もカフェインの摂取で精子の動きがよくなる可能性があることを言っていました。ただし、彼女の研究では精子の動きが良くても、カフェインを摂取していた人の精子の方が受精率が低かったという結論が出ており、パートナーの妊娠を希望する男性にはカフェインの摂取を勧めていませんでした(決して飲んではいけないというわけではなく、飲み過ぎはよくないということでした)。

 他の研究でも、男性が、1日に265mg以上のカフェインを摂取した場合、顕微授精での妊娠率が低下したとのデータも出ていました。ちなみに、1杯のエスプレッソには約80mgのカフェイン、1杯のドリップコーヒーには約120mgのカフェインが含まれているようです。エスプレッソの方が濃いのでカフェインが濃いのかと思っていましたが、豆の煎り方やお湯の温度、飲む量によりカフェインの摂取量が異なり、エスプレッソの方がカフェイン量は少ないらしいです。

 

 適量なら問題はなさそうなので、絶対に飲んではいけないというわけではありません。

 

 繰り返しますが、カフェイン摂取と精子への影響は、異なる結論の研究もあり、まだ評価が定まっていません。でも、コーヒー好きとしては、精子もコーヒーを飲んでピリッと目が覚めて元気に動いてくれればいいなあ、と願っています。さらなる研究の積み重ねを待ちたいと思います。

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小堀善友 (こぼり よしとも)

泌尿器科医 埼玉県生まれ

2001年金沢大学医学部卒、09年より獨協医科大学越谷病院泌尿器科勤務。14年9月から米国イリノイ大学シカゴ校に招請研究員として留学。専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症。詳しくはこちら
主な著書は『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)。詳細はこちら

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