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油を変えれば150万人の心臓病死を防げる?

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世界186カ国の食事調査から

油を変えれば150万人の心臓病死を防げる?

 健康や美容を意識して、油選びにこだわる人も多いだろう。心臓病や糖尿病などの病気になりにくくなるとして一時期ブームにもなったオリーブ油や、最近流行のココナツ油など、店頭に並ぶ食用油の選択肢はこの数年で劇的に広がった。このうち、ある種類の油を世界中の人々が選ぶようにすれば、心臓病(冠動脈疾患)による死亡を年間約150万件防げる可能性が、「世界の疾病負担(GBD)研究」に参加した186カ国の食事調査データに基づく分析によって示された。米ハーバード公衆衛生大学院のチェンイー・ワン氏らが、1月20日発行の米国心臓協会誌「Journal of the American Heart Association」( 電子版 )で報告した。

コレステロール低下させる油も

 一口に油と言っても、その種類はさまざま。最近はココナツ油やエゴマ油、グレープシードオイルなどが特に注目されている。

 油を構成している脂肪酸には、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸など複数の種類がある。n-3系脂肪酸やn-6系脂肪酸は多価不飽和脂肪酸と呼ばれ、中性脂肪やコレステロールを低下させる働きがあるといわれる。n-3系脂肪酸はエゴマ油やアマニ油、魚油などに、n-6系脂肪酸は紅花油やヒマワリ油、グレープシードオイルなどに豊富に含まれる。

 一方、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸は、中性脂肪やコレステロールを増やす作用がある。飽和脂肪酸は肉類、バター、ココナツ油などに、トランス脂肪酸はマーガリン、ショートニングや、これらを使ってできたパン、菓子類に多く含まれている。

n-6系脂肪酸を増やすことが効果的

 今回、ワン氏らが注目したのはn-6系脂肪酸、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の3つ。これまでの研究で、n-6系脂肪酸の摂取不足、飽和脂肪酸またはトランス脂肪酸の取り過ぎは、冠動脈疾患による死亡に関連することが示されているためだ。一方、n-3系脂肪酸は、冠動脈疾患との関係がまだ明らかになっていないため除外された。

 同氏らは、186カ国から寄せられたデータからn-6系脂肪酸、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の摂取量を計算。また、過去の研究データを基に、食べ物から取った脂肪酸が冠動脈疾患による死亡に与える影響を検討した。

 その結果、2010年に冠動脈疾患で死亡した人のうち、n-6系脂肪酸の摂取不足が要因だったのは71万1,800人、飽和脂肪酸の取り過ぎが要因だったのは25万900人、トランス脂肪酸の取り過ぎが要因だったのは53万7,200人だった。つまり、不適切な脂肪酸の取り方が原因で、約150万人が冠動脈疾患にかかって死亡した計算となる。

 興味深いのは、ほとんどの国で、n-6系脂肪酸の摂取が足りないことによる冠動脈疾患死の割合が、飽和脂肪酸の取り過ぎによる冠動脈疾患死の割合を上回っていた点だ。このことを踏まえ、ワン氏らは「飽和脂肪酸の摂取量を減らすより、n-6系脂肪酸を豊富に含む油の摂取量を増やす方が、公衆衛生上のメリットは高い可能性がある」と指摘している。

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kenkohyakka

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