原隆也記者のてんかん記
闘病記
免許更新で妻に病気がばれる
2014年夏、最後の発作から3年半が経過しました。2年を超えた時点で主治医から車の運転の許可が下り、プライベートでの使用が可能となっていました。そして、免許更新の案内が私のもとに届きました。
栃木県鹿沼市の事故などを受けた道路交通法の改正で、持病の申告が義務づけられたことは知ってはいたのですが、実際にどのような手続きをとるのかまでは把握していなかったため、ひとまず、警察本部の免許課に問い合わせました。
担当者から所定の用紙に、主治医の診断を書いてもらい、返送するよう求められました。それに従って、主治医から診断書をもらい、免許課に送ったところ、数日して封書が届きました。
ここで事件が起きました。おもむろに開封したところ、適正ありを通知する文書が入っていたのですが、それを妻に見られてしまいました。隠し事はいつかはばれると言いますが、このときの気持ちはなんとも表現できません。洗いざらいすべてを話しました。
すでに婚姻届を提出済みで、最悪なタイミングと形で露見したのですが、妻はその時、私を責めませんでした。その後、「隠していた」とたまに冗談めかして言うことはあっても、病気のことは追及しないので、納得してくれているのだろうと思うと同時に、感謝もしています。
私に限らず、病気を誰に、どこまで明かすかというのは、てんかん患者にとって常に心に大きくのしかかっています。
初めての夫婦の危機?を乗り越え、更新に臨みました。前回の更新から無事故無違反(運転自粛期間を挟むので当たり前ですが)で、近くの警察署で更新手続きを行えました。
持病を申告する質問票と「適正あり」の通知を持って受付に立ちました。受付には更新を待つ人で長蛇の列ができていました。事務職員はそれをさばくので手いっぱいに見えました。私の番が来ました。この職員は質問票をよく見なかったのか「次に進んでください」と言いました。ちゃんと持病の申告を認識してもらっているのかが心配になり、小声で「私、てんかんなんですが」と質問票を指さしました。すると、職員は慌てて、「少しお待ちください」と別の職員を呼びに行きました。
しばらくして、小部屋に通され、別の職員から病気について通り一遍の質問を受けました。続いて講習を終え、免許を更新できました。
申告の義務化からそれほど時間がたっておらず、持病のある人が更新するケースがまだ珍しくて不慣れだったのかもしれませんが、管内人口が多い警察署なので、私のように持病を持つ人が更新に訪れることがないとはいえません。私から話しかけなければ持病の申告を見落としてはいなかったか、と少し不安を覚えました。
【関連記事】