オトコのコト 医師・小堀善友ブログ
妊娠・育児・性の悩み
精子をロボットが運ぶ…授精をアシスト 動画に衝撃!
精液中に十分な数の精子がいたとしても、精子の動きが悪いとなかなか受精できず、不妊症の原因となります。その状態のことを、精子無力症と呼びます。

精子無力症には、以下のような原因があります。
(1)
精液中に1×10の6乗/ml以上の白血球を認めた場合に診断されます。好中球が産生する活性酸素が精子にダメージを与えると考えられ、抗生物質や抗炎症剤の治療が有効な場合があります。
(2)原発性線毛機能不全症候群
全身の線毛器官の運動障害が出る病気です。精子の動きにも影響が出ます。妊娠するためには、顕微授精が推奨されます。
(3)抗精子抗体
精子に対する自己抗体が原因です。不妊男性の5~15%とも言われます。以前は、自己免疫の改善を期待してステロイドや免疫抑制剤が使われていましたが、現在、不妊治療の第一選択は体外受精と顕微授精です。
(4)精子死滅症
射精精液中の精子生存率が低い場合は精子死滅症と診断されます。この場合、精巣から直接精子を採取する手術をすることで、生存精子が採取された場合は顕微授精に用いられます。
ちょっと長くなりましたが、要するに、どんな原因であれ、精子の動きが悪い場合、結局は顕微授精をするしか方法はないのが現状でした。顕微授精についてはドラマなどでもご覧になったこともあるかと思います。針を使って、動きの悪い精子を卵子の中に注入する方法ですね。精子が泳いでいって卵子の中に入る体外受精と違い、人の手で受精させることから、「授精」といいます。
しかし、先日驚くべき動画を有名科学雑誌である『Science』のネット版にて発見してしまいました。
⇒ http://www.sciencemag.org/news/2016/01/video-motorized-spermbot-helps-sperm-reach-egg
リンク先の動画をご覧ください。なんと、動いていない精子の尾部にコイル状の機械がくっついて、卵子まで精子を運び、受精させるというのです。もともとは米国化学会誌で報告されたようですが、研究者は、この機械を、spermbot(精子ロボット)と名付けています。
この動画を見つけた時、静かな図書館の中で思わず「ナンジャコリャー!」って叫んでしまいました。
ご覧いただければわかりますが、精子が卵子の壁に突き刺さると、ロボットは精子を放ちます。
実用化はまだ先の話のようですが、顕微授精も精子ロボットでする時代が間近に迫っているのかもしれません。
精子の質
オトコのトコ
動きの良くない精子は質が悪いようなイメージがありますが、そのような精子を受精させてできる子供に何らかの障害などが現れることはないのだろうか、と気...
動きの良くない精子は質が悪いようなイメージがありますが、そのような精子を受精させてできる子供に何らかの障害などが現れることはないのだろうか、と気になります。
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まさに「射精」ですね
めざめたじいさん
医学の進歩に驚嘆します。 ロボットもここまでくると、武器ですね。 精子の老化に光明でしょう。 しかし、肝心の人の生殖本能はどこに行ったのでしょう...
医学の進歩に驚嘆します。
ロボットもここまでくると、武器ですね。
精子の老化に光明でしょう。
しかし、肝心の人の生殖本能はどこに行ったのでしょう。
結婚しない人が増えています。
生殖本能を、医学はどうにも出来ないのでしょうか?
小手先の研究より、わが国の場合、人を動物としての機能を回復させることが重要ではないでしょうか。
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すごいけど怖い
jacs
Nano Lettersは比較的最近発刊された雑誌ですが、アメリカ化学会の雑誌にこんな論文が発表されていたとは驚きです。 動画も見ましたが、すご...
Nano Lettersは比較的最近発刊された雑誌ですが、アメリカ化学会の雑誌にこんな論文が発表されていたとは驚きです。
動画も見ましたが、すごいです! このバネのような形をしたspermbotは、この後どうなるのでしょう。それが怖いです。
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