高崎尚樹の健康ルネサンス
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“ヒートショック”な毎日…皆様もご用心!
“りんご風呂”に入ってきた。
全国各地に出張するが、“りんご風呂”に入ったという事実は、私の人生の輝かしい一ページになることは間違いない。仕事が終わり、一杯ひっかけて、風呂でノンビリ…というのが理想的である。
ただ、今回は確かに“りんご風呂”に入ったのだが、世の中はそんなに甘くはない。
前日の夜、宿泊先で資料作成しながら「寝落ち」してしまい、撮影のためとはいえ、膝から下だけの「足湯」としての入浴であったことは、少々残念ではある。
立春が過ぎ、天気予報では春の言葉が聞こえはじめたが、まだまだ寒い日が多い。
消費者庁は、今年1月20日に「 冬場に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! 」という注意喚起をしているので、以下に一部分を紹介する。
「消費者庁の注意喚起の要点は、次の5つである。
(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
(2)湯温は41度以下、湯に漬かる時間は10分までを目安にしましょう。
(3)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
(4)アルコールが抜けるまで、また、食後すぐの入浴は控えましょう。
(5)入浴する前に同居者に一声掛けて、見回ってもらいましょう。
この中で(2)の湯温と(1)の脱衣所や浴室との温度差に起因するアクシデントは「ヒートショック」と呼ばれている。温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動することで失神し、浴槽内で溺れることさえある。厚生労働省の人口動態統計では家庭の浴槽での溺死者数は、平成26年に4866人で、最近の10年間で約1.7倍に増え、その約9割が65歳以上の高齢者、特に75歳以上の年齢層で増加している。
入浴中の事故死は12月から2月の冬に多く、全体の約5割が発生している。入浴中の事故死者数と室温に関係があるとも言われているが、消費者庁のアンケート調査では、寒い日でも浴室や脱衣所の防寒をしていないケースが36%も占める。入浴前に浴室や脱衣所を暖め、浴槽にはシャワーから湯を入れて、その蒸気で浴室の温度が上げたりすることもできる。
いかがであったろうか? “ヒートショック”を侮ってはいけないのである。聡明な読者の皆様もご注意いただきたい。筆者の知人が、その対策を書いているページを参考にしてご注意いただきたい。
⇒ たすケア
仕事が終わり駅に急ぐと、真っ白になったホームが迎えてくれた。つい今しがたまで暖かい会場にいたのだが、この気温差は20℃以上あるはず。これもまた一種の“ヒートショック”であろうか?
今回の出張では、無事に仕事も終わり、“ヒートショック”の被害にも遭わず、ギリギリ新幹線に乗り込むことができた。唯一の心残りは、肩までザブンと“りんご風呂”に入れなかったことであるが、「次は、必ず『りんご風呂』に入る!」と固く決意をした。
足だけの入浴で、ちょっとだけ傷ついた筆者の気持ちは、弘前名産のりんごで丁寧に作られた、とろけるような“アップルパイ”が癒やしてくれた。
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