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国立健康・栄養研究所

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[大豆イソフラボン]骨の健康維持に役立つ 

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 大豆や大豆食品は古くから日本人に食されており、江戸時代にまとめられた『豆腐百珍』には豆腐の多種多様な食べ方が記載されています。大豆は“畑の肉”と呼ばれるように、良質のたんぱく質を多く含む食品ですが、近年、その他の成分の機能性も注目されています。今回は、大豆に含まれる成分のひとつである「大豆イソフラボン」について解説したいと思います。

大豆イソフラボンとは

 フラボノイド(植物の成分)の一種で、大豆やクズなどマメ科の植物に多く含まれているのがイソフラボンです。このうち、大豆イソフラボンは、特に豆の胚軸に多く含まれています。豆腐、納豆、みそ、しょうゆなどの大豆を使った加工食品の中にも入っています。大豆イソフラボンは「骨粗しょう症予防作用」「更年期障害(ほてりやホットフラッシュ)予防作用」「コレステロール低下作用」「乳がん・前立腺がん予防作用」などの効果が期待されています。また、「骨の健康が気になる方」向けの特定保健用食品に含まれる「特定の保健の目的に資する栄養成分」として、消費者庁より許可されています。

女性ホルモンのような働き

 大豆イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンに似た構造をしており、エストロゲン受容体(エストロゲンを認識して情報伝達を行うたんぱく質)と結合して女性ホルモンに似た弱い働きを持つことから、植物性エストロゲンと呼ばれています。

 閉経期の女性はエストロゲン分泌が急速に減少することにより、骨量の急速な低下や更年期障害が生じます。閉経期のエストロゲンが不足した状態で、大豆イソフラボンが補助的に働くことにより、骨粗しょう症や更年期障害を予防・改善することが期待され、これまで多くの臨床研究が行われてきました。また、閉経期に入るとエストロゲンの減少とともに脂質異常症(血中の中性脂肪やコレステロール濃度が基準値よりも高い状態のこと)が起こりやすくなります。大豆イソフラボンは血清脂質を改善することが期待されており、閉経期女性を対象とした研究が数多く実施されています。

 さらに、大豆を多く摂取するアジア人において、大豆イソフラボンを含む食品の摂取は乳がんや前立腺がんの発症リスク(危険性)を低下させることが報告されていますが、一方で、西洋人では影響がないとの報告もあります。これらの作用について研究結果をまとめると、大豆イソフラボンの効果は人種や摂取期間の違いにより一致していません。

 大豆イソフラボンは摂取された後、腸内細菌によりエクオールという物質に変換されます。エクオールは他のイソフラボンよりも女性ホルモンに似た作用が強いことが報告されています。イソフラボンからエクオールを作れるかどうかは人種や食習慣によって異なり、日本人では50%がエクオールを作ることができると言われています。現在までの大豆イソフラボンの研究結果が一致しない理由のひとつとして、エクオールを作れるかどうかが関係すると考えられています。

濃縮した食品は摂取量に上限

 大豆イソフラボンは一般の大豆食品にも含まれている成分であり、長い食経験を有していますので、通常の食べ物から摂取する量なら安全です。現在までに、通常の大豆食品に含まれるイソフラボン摂取によるヒトへの健康被害に関する報告はありません。  一方で、大豆イソフラボンのみを濃縮した食品に関する安全性については、2006年に内閣府食品安全委員会は大豆イソフラボンの1日摂取目安量の上限を大豆イソフラボンアグリコン(大豆イソフラボンは通常糖が結合した配糖体という構造で存在していますが、糖が外れた構造のものをアグリコンといいます)として70~75mg/日、特定保健用食品として摂取する場合の安全な1日上乗せ摂取量の上限を30mg/日に設定しました。また、妊婦、胎児、乳幼児、小児については、大豆イソフラボンを日常の生活に上乗せして摂取することは、推奨できないとしています。

 なお、大豆イソフラボンの1日摂取目安量の上限値は、この量を長期間摂取する場合の平均値としての上限値です。大豆食品からの摂取量がこの上限値を超えることにより、直ちに、健康被害に結びつくというものではありません。

 大豆イソフラボンを薬と併用した時の安全性については、エストロゲン製剤、タモキシフェンおよび経口避妊薬などの作用に影響を与える可能性が報告されていますので、これらの薬との併用は避けた方がよいでしょう。薬との相互作用については、現時点では分かっていないことが多いため、基本的には併用しないこと、併用する場合には医師・薬剤師に相談した上で利用するようにしましょう。

 大豆イソフラボンの安全性・有効性に関する科学的根拠は以下のサイトを参照してください。

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報サイト

 (国立健康・栄養研究所 東泉 裕子)

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