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ビデオ通話で子どもの復学支援…教師と退院前に「顔合わせ」

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受け入れ時の不安を軽減

 長い闘病を経て病気に勝ち、復学する小中学生がいる。クラスにすぐ溶け込めるようにと、名古屋大病院小児科ではインターネットの ビデオ通話サービス を活用し、教師との顔の見える交流を始めた。

 昨年12月、同病院に入院していた男児(7)は、ソワソワした様子でテレビの前に座った。右隣には母親、左隣には主治医の高橋義行さん。1年5か月に及んだ入院中、見守ってくれた看護師や院内学校の教師たちも勢ぞろいした。

 「こんにちは。よろしくお願いします」

 画面の向こうで、復学する岡山市の小学校の教師が語りかけた。担任教師、1年の別のクラスの教師、教頭、養護教諭らが順番に笑顔であいさつすると、男児も笑顔で手を振った。ビデオ通話による退院前カンファレンスが始まった。

 病院と学校の関係者が、患者、家族を交えて情報交換する退院前カンファレンスは、実施病院が増えている。通常は学校関係者を病院に招くが、名古屋大病院は県外からの入院患者が多く、教師が来院できないこともある。そこで昨年から、ビデオ通話を活用したカンファレンスも始めた。

 復学先の学校関係者は、困難な病気を乗り越えたとはいえ、体調が十分ではない子どもを受け入れることに不安を感じている。そのため、接し方が慎重になり過ぎて、かえって子どもを傷つけることもある。

 同病院では、薬の影響で頭髪が一時的に少ない子どもが多いが、医師や看護師はそれを「頑張った証し」と伝えている。そのため、院内で頭髪の少なさを恥じる子どもはいない。ところが復学する学校によっては、いじめを心配して帽子をかぶらせてしまう例もある。カンファレンスには、こうした誤った対応を防ぐ狙いがある。

 男児のカンファレンスでは、まず高橋さんが病気の説明を行った。男児は神経細胞の一部に腫瘍ができる病気と闘い、最新治療で回復したことを分かりやすく伝えた。続いて学校での生活上の注意点を説明。治療の影響がまだ残り、この冬は抵抗力がやや低下しているため、感染症への気遣いを求めるものだった。

 だが、学校で流行する感染症は数多い。高橋さんは「感染症が学校で出る度に休むと、通学できなくなる。男児は、インフルエンザと水ぼうそう、麻疹(はしか)以外はそれほど神経質になる必要はない。軽いすり傷や切り傷も大丈夫。不安な時はお母さんに相談してください」と伝えた。

 これも、教師が心配するあまり、過剰な対応を取ることを防ぐ助言だった。長い看病で病気のことをよく知り、同病院にすぐに電話相談できる母親の役割を明確にすることで、教師の心理的負担を減らした。

 その後、院内学校と小学校の教師が、2学期の通知表について話し合った。出席日数が少なく、復学時に低い評価を受ける子どももいる。院内学校で頑張った男児を正しく評価するための情報交換だった。

 「国語が好き」と言う男児。40分ほどのカンファレンスを終え、小学校生活への期待に目を輝かせた。(佐藤光展)

 ビデオ通話サービス 
 インターネットに接続したパソコンなどを使い、テレビ会議などができる。名古屋大病院では「Skype」(スカイプ)のサービスを使用している。
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