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Dr.徳田の「総合診療の出番です」

からだコラム

[Dr.徳田の「総合診療の出番です」]求められる医師像とは

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 この連載で紹介してきた「総合系の医師」とはどういう医師でしょうか。1970年代までは、多くの医師は総合系医師でした。開業医も「○○内科小児科医院」という形がほとんどで、病院の外来も内科、外科、小児科、産婦人科くらいでした。ところが、80年代になって欧米を中心に臓器別診療科が急速に発展しました。その流れに日本の医療も乗ったのです。

 日本では開業医も含めて医療体制が臓器別となりました。その後、総合系不在による課題が明らかになってきました。「体がだるい」「めまい」などの漠然とした症状を持つ高齢者がどの診療科を受診すればよいのかわからない。救急車が搬送依頼をしても「専門外」ということで謝絶する。複数の診療科を受診し、別々に薬を処方されることで起きる、薬の多剤投与も問題になっています。

 欧米では、臓器別の分化と並行して総合系医師の養成も行ってきました。家庭医、病院総合医などの専門医です。やや遅れた感のある日本でも、2017年から始まる専門医制度の導入に伴って初めて総合系医師の養成を正式に行うことが決まりました。これまで臓器別診療を行っていた医師も診療の守備範囲を広げつつあります。

 総合系医師にどのような医師像を求めるかは国民のニーズで決めるべきだと思います。私は、健康に関して親身に相談に乗るかかりつけ医師、医療サービスの賢い選択を助ける医師、地域社会の人々に広く健康教育をする医師、のニーズが高いと感じています。

 専門医制度の導入を待たなくても、最近では、地域でそのような役割を担っている医師が増えています。地域の人々と情報交換をして総合系医師を探してみてください。きっと見つかるはずですよ。(徳田安春・地域医療機能推進機構顧問)(おわり)

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