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おたふく風邪流行の兆し 髄膜炎、脳炎…合併症の危険

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ワクチン接種 唯一の予防法

おたふく風邪流行の兆し 髄膜炎、脳炎…合併症の危険

 耳の下が腫れる「おたふく風邪」(流行性耳下腺炎)が全国的な流行の兆しを見せている。主に子どもの病気として知られているが、抗体がない大人も感染する。脳炎などの合併症を起こす可能性もあり、国立感染症研究所が注意を呼びかけている。

 おたふく風邪は、ムンプスウイルスに感染して起きる。耳下腺や 顎下がっか 腺、 舌下ぜっか 腺といった唾液を分泌する腺が炎症を起こし、耳の下からあごの辺りが腫れる。発熱や痛みを伴うこともある。

 感染研によると、11~17日(速報値)に全国約3000の小児科から報告された患者数は2793人で、1か所当たり0.88人。前週(4~10日)の1.2人に続いて多い。

 この時期で見ると、2006年以降で3番目に高い数値だ。都道府県別では、石川(4.03)、佐賀(3.13)、沖縄(2.82)などが多かった。

 感染研感染症疫学センター第三室長の多屋 馨子けいこ さんは「4~5年の周期で流行している。冬から夏にかけてピークになる可能性があり、今後も注意が必要だ」と話す。

 おたふく風邪は、唾液を介した 飛沫ひまつ 感染が主になる。2~3週間程度の潜伏期間の後に症状が出て、通常は1~2週間で治まる。ただ、ごく軽い症状や症状が出ない「不顕性感染」が約3割おり、本人がおたふく風邪と気づかないまま、他人に感染させるケースもある。

 現時点で効果的な治療法はなく、解熱剤や痛み止めなど対症療法となる。口を開けたり、そしゃくしたりすると痛むので、刺激が少なく喉ごしがいいものを食べさせ、脱水に気をつける。

 おたふく風邪は、無菌性髄膜炎や脳炎など合併症を起こすこともある。医師で新潟大学教授(小児感染症)の斎藤昭彦さんは「頭痛や 嘔吐おうと 、けいれんなどがあれば、髄膜炎や脳炎などを疑う必要がある」と注意を促す。思春期以降に感染すると、 睾丸こうがん 炎や卵巣炎を起こす場合もある。

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 また、1000人に1人程度の割合で難聴になると報告されている。片耳だけ聞こえない例が多いので、「特に子どもについては、両耳がちゃんと聞こえているか、保護者が発症から2週間程度は注意してほしい」と多屋さん。

 唯一の予防法はワクチン接種だ。国内では「任意接種」となっているが、斎藤さんは「ワクチンで予防できる病気なので、今からでもぜひ予防接種をしてほしい」と勧める。補助を出している自治体もある。

 ワクチンは2回接種が基本で、1回目と2回目は1か月以上空ける。4週間ほど過ぎると、効果が確かなものになる。

 一度感染すると抗体ができるが、かかった覚えがない人やワクチンを接種したかどうかはっきりしない人は、抗体検査をするとよい。

 流行期はなるべく人混みを避ける。また、感染者に接することがある人は、くしゃみやせきで直接飛沫を浴びないようマスクをすることも大切だ。(野倉早奈恵)

 (2016年1月29日 読売新聞朝刊掲載)

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