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介護・シニア
「コグニサイズ」頭・体の体操…運動に計算など組み入れ
認知症の予防に、ウォーキングなどの有酸素運動と、しりとりや簡単な計算など頭の体操を組み合わせた「コグニサイズ」が注目されている。自治体で介護予防教室に取り入れられており、1人でも家で簡単に始められる。
コグニサイズは、コグニション(認知)とエクササイズ(運動)を組み合わせた造語で、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)が開発した認知症予防のプログラムだ。
神奈川県鎌倉市では、毎週木曜日の介護予防教室で、30~40分間、コグニサイズをしている。
床に赤や黄、青などの板状の健康用具「バランススティック」を50センチ間隔で並べ、その上を60~80歳代の男女6人が1列になって歩く。右足を踏みだしてから両足をそろえ、次は左足を踏み出して両足をそろえる。「スティックの色を日本語で言いながら踏みましょう」「今度は英語で」など講師からの指示に合わせて、声を出しながら歩く。中には、「あれ? どっちの足だっけ」とわからなくなる参加者もいて、笑いが起きた。
講師の金山桂さんは「うまくできないと言って嫌になってしまう人がいますが、その状況こそ、脳にとっては良い刺激になっています」と話す。参加者の女性(66)は「退職後、家の中にいて、頭を使うことが少なくなった。難しいけれど、脳が生き生きする感じがする。間違えても仲間と一緒で楽しい」と話す。
神奈川県は、認知症予防のため県内全域での普及を目指す。名古屋市でも介護予防事業に取り入れられている。
長寿医療研究センターの研究では、有酸素運動に簡単な頭の体操を組み合わせることで、記憶力の改善が見られたという。センターではコグニサイズを学びたい指導者や実践者を対象に年2回、研修をしている。「認知症予防の簡単エクササイズ」(NHK出版、税込み972円)などの書籍もある。同センター予防老年学研究部長の島田裕之さんは「少しずつでも毎日続けることが大切です」と話す。
やってみよう 右左ステップ
島田さんに、狭い場所でも1人で簡単にできる方法を聞いた。
右、左、右、左とステップを踏みながら数を数え、3の倍数の時にだけ、足を「前、後ろ、後ろ」に出す。慣れないうちは、棒などにつかまれる所でやるといい。ある程度の身体的負荷をかけた方がよく、できるだけひざが直角になるよう、ももを高く上げると効果的だ。
ポイントは、「同じ課題とステップを繰り返し行わないこと」。繰り返すと体が覚えてしまい、脳への刺激が少なくなる。島田さんは「完全に覚える前に変えましょう」と話す。
数字に慣れてきたら、50音順を言いながら「あ、い、う」「え、お、か」「き、く、け」と三つで区切ってステップを踏んだり、アルファベットに変えたりして、変化をつける。
理想は1日30分だが、5分でも10分でもできる範囲で続けるといい。
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