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風呂の雑菌 追いだきで増殖…月1回は掃除を
配管通し浴槽と給湯器を行き来
追いだき機能付きの風呂は、雑菌が増殖しやすい。入浴時に人の体から出た雑菌が追いだきの配管の中で増え、浴槽に戻ってくるためだ。除菌するには、月1回の配管掃除がお勧めだ。
人の体には多くの雑菌がある。例えば、小さな子どもがお尻をきれいに洗えていないまま浴槽の湯につかると、大腸菌が湯に混じる。皮膚などにいる黄色ブドウ球菌、鼻の中などにいる緑のう菌なども、湯に混ざる可能性がある。
入浴後に排水すれば、浴槽内の雑菌は消える。だが、入浴中に追いだきをしていれば、雑菌は配管内にも入り込む。
追いだき機能を使うと、浴槽の湯は配管を通り、給湯器まで行って加熱され、再び配管を通って浴槽に戻る。「ただ、配管内に残ってよどんでしまう湯も多く、そこで雑菌が増殖し、翌日の給湯などで浴槽に戻る」と、衛生微生物研究センター(東京)所長の李憲俊さん。
雑菌は60~70度の温度で死滅するが、37度ほどの風呂では、人の汗や排せつ物を餌にして増えやすい。
李さんは昨年10月、15世帯の家庭で配管の雑菌数を調べた。入浴の翌日、給湯口から出た最初の湯を100ミリ・リットル採取して調べたところ、最大で1ミリ・リットルあたり1万個の雑菌が検出された。この菌数は排水口と同レベルという。築年数が古い家ほど、雑菌が目立つ傾向も見られた。
大和高田市立病院(奈良県)小児科部長の清益功浩さんは、「万単位の雑菌があるといっても、それですぐ病気になるわけではないが、免疫力の低い乳幼児や高齢者には注意が必要だ」と指摘する。
除菌のため、月1回は市販の風呂釜用洗剤を使って、配管掃除をしたい。給湯口が一つ用と二つ用があり、複数のメーカーが洗剤を発売している。
日本ハウスクリーニング協会(東京)理事の高橋敬子さんに、掃除の仕方を聞いた。
給湯口が一つの場合、それより5センチ以上の高さまで湯か水をため、洗剤を入れて追いだきする。その後、しばらく放置する。浴槽にためる湯の温度、追いだきや放置の時間などは、洗剤によって異なるので、各商品の注意書きに従う。
水を抜いて浴槽が空になったら、浴槽に付いた泡をシャワーできれいに洗い流す。すすぎ用に湯か水をため、追いだき運転をしてから排水する。
給湯口が二つなら、残り湯のある状態で、下の口から配管内に洗剤を入れ、追いだきする。次に、下の口からホースを入れ、水で汚れを流してから排水する。
高橋さんは、「特に高齢者の場合、重労働の風呂掃除は避けがちで、何度も風呂の湯を使い回していることもある。ぜひ配管掃除をしてほしい」と話す。
配管の雑菌対策を施したタイプに取り換えるという選択肢もある。給湯器メーカーのノーリツ(神戸市)は「配管クリーン機能」を備えている。浴槽の排水栓を抜くと、自動的に新しい湯が出て、配管内の残り湯を洗い流す。次に給湯する時は、新しいきれいな湯に入ることができる。
この機能付きの給湯器は約40万円。別に工事費がかかる。(住友堅一)
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