文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

知りたい!

医療・健康・介護のニュース・解説

2016年 社会保障の動き…介護充実、薬価値下げ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
2016年 社会保障の動き…介護充実、薬価値下げ

 2016年は、安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」の実現へ向けた施策が始動する。介護サービスや子育て支援の充実が図られる一方、膨らむ社会保障費を抑えるため、介護や医療保険について負担や給付の見直しの議論も本格化する。社会保障分野で今年、予定されている施策や動きをまとめた。

施設整備を加速

 1億総活躍社会へ向けて政府が放つ新「3本の矢」のひとつが、家族の介護を理由に離職する人をなくす「介護離職ゼロ」だ。離職者数は年間10万人規模に上り、経済成長を妨げる深刻な問題と位置づけた。

 具体的には、特別養護老人ホームなど要介護者の受け皿になる施設や在宅サービスの整備を加速する。2020年代初頭に、新たに50万人分以上をつくる。今後、財源を手厚くし、都市部の国有地貸し出しなどで後押しする。

 ハコを作っても職員が集まらなければ開設できない。当面の人材確保策として、介護の仕事をいったん辞めて再び就く人に準備金を貸し出し、介護福祉士の養成施設に入った学生に貸す修学資金の対象者を増やすなどする。

 介護する人が働きやすい職場環境にするため、介護休業(家族1人につき93日)の分割取得を可能にし、休業中に支給される給付金の水準を40%から67%に引き上げる。

 新3本の矢は今春にも最終プランがまとまり、さらなる支援策が示される。

一部で患者負担増

 16年度は、ほぼ2年に1度の診療報酬の見直しが実施される。医療費が膨らむ中、政府は昨年末、医師らの技術料はプラス改定とする一方、薬価は引き下げ、全体で0・84%のマイナス改定とした。

 安価な後発医薬品(ジェネリック)を値下げして普及を図り、医師が処方する湿布薬の枚数制限や、大病院の近くにある「門前薬局」の報酬カットなども行われる見通し。また、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる「地域包括ケアシステム」の構築へ向け、病院からの退院支援の強化や、かかりつけ医や薬剤師の普及、質の高い在宅医療の推進などに力を入れる。

 4月からは一部で患者負担も増える。大病院を重症患者の治療に集中させるため、紹介状を持たない患者には5000円以上の追加料金を課す見通し。入院時の食事代も1食あたり100円値上がりする。

制度見直し議論も

 16年は介護保険や医療保険について、能力に応じた負担を求めたり、給付のあり方を見直したりする議論も始まる。医療や介護の費用は膨張する一方で、政府が財政健全化へ向けて進める改革の工程表で、16年末までに結論を出すよう明記されているからだ。

 具体的には、▽要介護度の低い人に対する生活援助サービスの給付のあり方や、福祉用具貸与・住宅改修も含めた負担の見直し▽月ごとの医療費の自己負担に上限を設けた「高額療養費制度」の見直し――などが盛り込まれている。厚生労働省は社会保障審議会を開き、議論を進める。

低所得世帯に手厚く

id=20160118-036-OYTEI50019,rev=4,headline=false,link=true,float=right,lineFeed=true

 低所得の子育て世帯を対象とした新たな支援策が4月から始まる。

 年収約360万円未満の世帯では、第1子の年齢に関係なく、保育園や幼稚園の保育料は第2子が半額、第3子以降は無料になる。さらに、ひとり親世帯では、第1子の保育料が現在の保育料から半額、第2子以降は無料になる。

 一定の所得を下回るひとり親家庭に支給される児童扶養手当は、8月分から、第2子以降の加算額が倍増。第1子の月額最大4万2000円に加え、第2子は同1万円、第3子以降はさらに同6000円ずつが上積みされる。たとえば子どもが2人の場合、手当は計5万2000円となる。一方、中学生以下の子どもを持つ世帯に幅広く支給してきた「子育て世帯臨時特例給付金」(1人当たり年3000円)はなくなる。

 仕事と子育ての両立の実現のため、保育の受け皿拡大もさらに進める。複数の企業が共同で保育所を設ける際の整備費や運営費を補助する仕組みがスタート。非正規雇用の女性が育児休業を取る際の要件を緩和するための法改正の議論も国会で始まる。(手嶋由梨、板垣茂良)

 (2016年1月17日 読売新聞朝刊掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

知りたい!の一覧を見る

最新記事