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インフルワクチン、なぜ高齢者に効きにくい?

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ブラジルの研究グループが分析

若者に比べ、高齢者ではインフルエンザワクチンの効果が低いとされている。ブラジル・サンパウロ大学薬学部のエウデル・ナカヤ助教らは、その原因を突き止め、昨年12月15日発行の免疫学専門誌「Immunity」(2015; 43: 1186-1198)に報告した。高齢者では免疫が、ワクチンの力を引き出すのに適した状態ではないことが関係しているという。

高齢者と若者で免疫の変化を比較

日本では、65歳以上へのインフルエンザワクチン接種を国が推奨しており(定期接種)、経済的な負担が少なく受けられるようになっている(負担額は各自治体による)。これは、厚生労働省の研究で、ワクチンが65歳以上の健康な人の約45%の発病を予防し、約80%の死亡を防ぐと報告されているためだ。 一方で、高齢者では若者に比べ、ワクチンを接種してもインフルエンザに対する免疫ができにくいと指摘する研究結果が報告されている。 ナカヤ助教らは、2007~2011年にインフルエンザワクチン(3価)を接種された212人の血液検体を調査。高齢者のグループと若者のグループに分け、接種した日から28日後の免疫力(抗体価)の変化を比べた。

接種前の免疫状態が重要

その結果、ワクチン接種から28日後の免疫力の付き方(抗体応答)は、高齢者で顕著に弱いことが分かった。性別や糖尿病にかかっているかどうか、人種による差は認められなかったという。 原因を探ったところ、炎症への反応に関連している「CCR5」というタンパク質が増えると、インフルエンザウイルス(ワクチン株)への反応が弱くなることが示された。つまり、高齢者ではワクチンの接種前に「CCR5」が多い状態になっており、それが抗体応答を弱めている可能性が示されたことになる。 共同研究者で、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校生物工学部のシャンカル・サブラマニアム教授は「高齢者で、インフルエンザワクチンを接種する時の免疫状態が、ワクチンへの抗体応答に関連することについて、新たなエビデンス(根拠となる研究結果)を示すことができた。次世代ワクチンの開発や、ワクチンを投与した後の補完的な処置の検討にもつながるのではないか」と期待を寄せている。
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