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宋美玄のママライフ実況中継

コラム

浦安市長の成人式発言、適切か?

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 今週になって、東京はようやく冬らしい寒さになってきました。連休に家族で外出をしたのですが、娘のパワー発散のためにわざわざ小さな赤ちゃんを連れて出かけたにも関わらず、娘が「お家が良かった」と言ってがっくり。結局、娘のリクエストで温水プールに行きましたが、寒い日は運動不足になりやすそうです。

「出産適齢期」、物議を醸す

はらぺこあおむしの服を買ったらもう大きくなりすぎて入りませんでした。成長を感じます

 今年も成人式が各地で行われ、例年のように派手で素行の荒い新成人が話題となっていますが、それよりも話題になっているのが千葉県浦安市の松崎秀樹市長の祝辞です。「人口減少のままで今の日本の社会は成り立たない。若い皆さんに大いに期待したい」「出産適齢期は18歳から26歳まで」と発言したとのことです。

 浦安市と言えば、こちらのブログでも以前取り上げたように、未受精卵の凍結に補助金を出すことで話題になったほか、ショートステイの産後ケア事業を始めたり、子育て支援に力を入れたりなど、次世代の育成には力を入れていますが、この発言は物議を醸しています。

行政の産める支援、不十分

 私は成人式に出席しなかったのでどんなものなのか知らないのですが、「早く子供を産みましょう」という発言は会の趣旨とは異なるんじゃないかなと思います。当日のニュースを見ていると、市長はインタビューに「事実を知っておいてほしい」という旨の返答をされていましたが、「出産適齢期は18歳から26歳まで」というのは果たして事実なのか、と私は疑問に思いました。祝辞では、日本産科婦人科学会がそのように言っていると述べられていたようですが、私自身は日産婦がそのように言っているのを見たことがないので、どれを指しているのかなと疑問に思っています(日産婦が発行した「女と男のディクショナリー HUMAN+」という、主に女性の健康について書かれた冊子には、出産の適齢期は25歳から35歳前後と書かれています。※62ページ)。

 また、生物学的な出産適齢期が若いのは当然のことですが、社会的な出産適齢期は18歳かと言われると「それは違うだろう」という人が多いのではないでしょうか。体は若い方が出産には適しているけれども、あまり若いうちに産んでも育てていけないというのが現状です。現代日本では、生物学的な出産適齢期と社会的な適齢期が乖離かいりしていることが少子化の原因となっています。それを埋めて、若いうちに産み育てられる社会にするためのサポートをするのが行政の仕事なので、そのことに触れずに「事実」だけを伝えるのは市長として片手落ちではないかと思います。

生殖年齢の限界、伝える機会を論じて

 こちらのブログでも度々論じていますが、生殖年齢に限界があることは事実であり、若いうちに知っておくことは必要なことです。しかし、成人式という場で市長が事実を伝えること、それもあまりにも簡潔に、適切と言えるのか微妙な数字だけを伝える(実際は個人差が非常に大きいことなどを伝えていないので数字だけが一人歩きしてしまう可能性が高い)ということが、今回物議を醸した原因だと思います。

 ただ、若い人たちに幅広く生殖に関する知識を伝える機会は実際のところなかなかなく、成人式という機会を利用して伝えたいという専門家の声もあるのは事実です。各報道機関に対しては、市長の祝辞を批判するだけでなく、医学的事実を伝える機会についても論じてほしいと思いました。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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2件 のコメント

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細かい表現をあげつらうべきではない。

fuku***

 私は浦安市長の人柄を知りませんが、「これからの人生には、結婚や出産もありますよ、意識してください」ということを伝えたかっただけではないかと思い...

 私は浦安市長の人柄を知りませんが、「これからの人生には、結婚や出産もありますよ、意識してください」ということを伝えたかっただけではないかと思います。若い方に将来を語ろうと思ったら、当然、話題になることです。細かい表現をあげつらっていては、何も話せなくなってしまうと思います。
 結局、問題視しているのは、浦安市の成人式の参加者ではなく、行政を叩きたいマスコミや専門家でしょう。こんな話をいつまでも引っ張ることがどうも理解できません。
 

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ある意味しょうがなかったのでは

現代にはついていけない世代

今年の成人式で海外の方が日本の成人式に出席する許可をもらうと、なんと複雑な日本語の勉強に役に立つと言って成人式に臨むという内容の動画を動画サイト...

今年の成人式で海外の方が日本の成人式に出席する許可をもらうと、なんと複雑な日本語の勉強に役に立つと言って成人式に臨むという内容の動画を動画サイトでやっていました。そういう式の出席の方法もあるのですね。感心した次第です。

生殖に関する知識を広めたいのはわかります。
でも、日進月歩で進む生殖医療があるので教えて教えても難しいです。新しい治療や薬の出現などもあります。

すでに女性用バイアグラと呼ばれるものも出ています。ゲイのカップルが卵子提供で代理母が出産してくれる時代でもあります。

今日教えたことが数ヶ月先に解決方法がでてしまう事が日常になった現代で成人式に訓辞するのは、その時限定の話題になるのはしかたないと思います。

今回の浦安市市長の話題はある意味、しょうがないと思っています。財政圧迫、税徴収、人口の出入り、海外からの観光客頼りになりつつある等、深い問題もあっての発言ではなかったのでしょうか。

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