気になる社会保障Q&A
医療・健康・介護のニュース・解説
Q 介護職 なぜ足りない?
重労働なのに安い賃金
県立高校2年。
Q 高校で進路説明会があって、介護の資格が取れる学校に進めば就職に有利と言われたんだけど、本当かしら?
A 老人ホームなどの施設職員やお年寄りの家を訪問して世話をするホームヘルパーなどの「介護職」は本当に足りない。資格があれば、就職は引く手あまただろうね。
Q そうなんだ。友達のお母さんとか、介護の仕事をしている人は多いと思っていたわ。
A 確かに、介護職の人数は約170万人で、この10年で2倍以上に増えた。でも、それ以上に介護を必要とするお年寄りが増えているから、2025年度には約38万人の介護職が不足するらしい。今でも、職員が足りないからお年寄りの利用を制限する施設があるほどだよ。
Q なぜみんな介護の仕事に就かないのかしら?
A 一番の理由は、仕事が大変な割に賃金が低いからと言われている。お年寄りの生活を支えるには、専門的な知識や体力が必要だ。ところが、ホームヘルパーや施設職員の月給は平均約22万円で、平均勤続年数が短いせいもあるけど、全体の平均より約11万円も低いんだ。
Q お給料を上げればいいんじゃないの?
A それがなかなか難しい。給料の大部分は、40歳以上の人が加入する「介護保険制度」の保険料と税金から出ていて、介護の内容ごとに、受け取れる金額も決まっているからね。
Q でも、人の役に立てるからいい仕事だと思うわ。資格を取るのは大変なの?
A 資格はいくつかあって、介護福祉士という国家資格は「福祉系の学校で2年以上学ぶ」か「3年の実務経験などを経て国家試験に合格する」ことが条件で、簡単ではない。でも、施設では資格がなくても働けるよ。
Q 勉強する必要はないの?
A 無資格の人の平均勤続年数は2・9年と短いから、やはり、資格を持って働く方が長続きするんだろうね。ただ、仕事を辞めた介護福祉士に理由を尋ねた調査では「専門性や能力を発揮できない」という回答も多かった。専門性が評価されにくい職場が多いことも問題なんだ。
Q 何とかならないかしら?
A 国は、研修や資格制度を充実させ、長く勤めて経験を積んだり勉強したりした人を評価する人事や給与の体系を作ろうとしている。昨年4月からは、研修などに取り組む施設に職員1人当たりの給料を平均月1万2000円上乗せしているよ。
Q 人手が増えるといいね。
A 人材養成のために、介護福祉士を目指す学生への奨学金制度も作ったんだよ。元気な高齢者にボランティアなどとして介護職を紹介する計画もある。様々な働き方で介護を支えていかないとね。(大広悠子)
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