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フォーラム「がんと生きる」 「こころとからだ私らしく」

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[フォーラム「がんと生きる」 「こころとからだ私らしく」](3)患者からも情報発信

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加藤一恵さん

 町永 患者の思いをどう医療者に伝えるか。がん診療連携拠点病院にあるがん相談支援センターでソーシャルワーカーらが取り組んでいます。

 加藤 主治医から余命を宣告された時、何も話す気持ちになれませんでした。治療法を聞き、治療しないといったんは決めました。翌日、ソーシャルワーカーの久住さんと出会って、人生観や思いを伝えることができ、今後受けられるサポートや情報も聞き、気持ちが楽になりました。

 久住 加藤さんに出会ったのは、告知直後で治療方針が決定する前でした。加藤さんがどんな選択をしても、しっかりサポートすることを伝えました。そして加藤さんの了解を得て、主治医・看護師と情報を共有しました。

 町永 主治医も大きく変わりますよね。

 久住 加藤さんは気持ちの整理ができ、医療者の側もチームで情報や価値観を共有して、一緒に治療に臨む体制ができたと思います。

 内富 がん告知を受けたその日に相談支援センターに寄ってほしいですね。最初の1週間が一番つらいと言われ、最悪の場合、自殺につながることも多いです。

 秋月 国は拠点病院を全国に約400指定しています。全てに相談支援センターがあり、研修を受けた看護師やソーシャルワーカーがいます。活用してもらうように普及啓発を進めたいと思います。

納得の日々に

久住真有美さん

 町永 患者自身の情報発信が、がん医療の大きな力になっています。轟さんはスキルス胃がんの情報をまとめた冊子を自ら作成しました。大変な状況なのに、何が気持ちを駆り立てたのですか。

 轟哲也 情報があったのを後から知って悔やむ患者が減ってほしいというのが一つです。医療者にスキルス胃がんを再認識してもらい、治療法を確立してほしいという思いもあります。

 町永 患者側も医療についてきちんと知ることが必要だと。

 轟哲也 知り得る情報を全部手に入れて、どれくらいの時間が残っているのか、どの程度の可能性かを見極めた方が、不安はぬぐえないかもしれないけれど、納得して日々の生活を送れると思います。

 町永 加藤さんはどのようにして医療情報と自分の思いをつないでいますか。

 加藤 出回る情報のうちで何が正しくて何が間違っているかはきちんと選択しなければと思っています。久住さんの力を借り、2か月に1度くらい病院で開かれる患者サロンに参加しています。

 秋月 これからのがん医療には、患者やその家族の生活環境に合った支援が求められています。それぞれの患者に適切に対応していくためにも、患者が経験を共有していくことは重要です。

 轟哲也 患者が医療者と連携して、よりよい医療を目指す時代が来たと感じています。治療の主役はあくまでも患者だと思っています。

 (2015年12月26日 読売新聞朝刊掲載)

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