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オトコのコト 医師・小堀善友ブログ

妊娠・育児・性の悩み

オトコも気になる女性の性機能障害(1)

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 2015年10月、女性用の性機能障害に対する治療薬であるフリバンセリン(商品名Addyi: アディー)が米国食品医薬品局(FDA)で承認され、米国内で発売となりました。

 この薬が発売されて約3か月になります。この薬が「女性用バイアグラ」などと言われることもあるようなのですが、実は、薬剤の効果も、とりまく状況も、大きく異なるようです。

 女性の性機能障害は、そのパートナーである男性にも大きく関わる問題です。そこで、今回は女性の性機能障害と、その治療について国際性機能学会のHPから調べて簡単にまとめてみました。

 1)女性の性機能障害の定義

 医学的な定義として、女性の性的な反応、性欲、オーガズムのトラブル、もしくは性交時の痛みが繰り返して起こり、女性自身に問題が起こることとされています。それが原因となりパートナーの関係が悪化することも女性性機能障害の定義に含まれます。

 男の場合は勃起するかしないか、挿入できるかできないか、射精できるかできないか、というものですが、それよりも複雑な問題であると考えられます。

 これは、生まれつきに起こりうるわけではなく、人生の様々なステージにおいて起こりうる問題です。性的な反応は、生理学、感情、経験、信条、ライフスタイルやパートナーとの関係などが複雑に相互作用を起こして形となって現れてきます。それらの構成要素のいずれかに問題が起こり得る時、性欲や興奮、性的な満足感に様々な影響を及ぼします。よって、治療にも複雑なアプローチが必要となってくるのです。

 2)症状

  • 性欲の低下
     もっとも一般的な女性性機能障害は、性欲の低下です。これには、性行為に対する意識や関心の低下も含まれます。
  • 性的興奮ができない
     性欲が正常であったとしても、性行為中に興味や興奮を維持することができないことを意味します。
  • オーガズム障害
     十分な性的興奮や性的刺激を受けてもオーガズムに達することができないこと。
  • 性行為痛
     性的刺激を受けている時や挿入時に痛みがあること。

 もし、これらの症状がある時は、女性の性機能障害として評価と診断を受けるために専門医を受診することが勧められています。

 3)原因

 ホルモンが原因で起こる女性性機能障害は、閉経や出産などのホルモンにまつわるイベントとも関連しており、時間の経過によって症状が変化します。がんや糖尿病、心血管障害などの大きな病気も性機能障害を引き起こします。

 原因は複数のものが重なり合って起こることもあります。以下に列記していきます。

  • 肉体的原因
     がん、腎機能低下、多発性硬化症、心疾患や膀胱ぼうこうの問題などの症状は、性機能障害を引き起こします。また、抗うつ剤、血圧低下薬、抗ヒスタミン薬や抗がん剤等の薬剤も性機能障害を引き起こしたり、オーガズムを感じづらくさせたりすることがあります。
  • ホルモン的原因
     閉経後に起こる女性ホルモン・エストロゲンの低下は、全身に様々な症状を引き起こし、性機能低下も引き起こします。エストロゲンの低下は骨盤部における血流低下も引き起こし、陰部の感覚の低下が起こることにより性的興奮やオーガズムに達しづらくなります。
     さらに、性行為をすることが少なくなってくるにつれて、膣壁が薄くなり、硬くなってきます。これらは性交痛の原因となるのです。
     また、出産や授乳もホルモンに影響を与えるため、膣の乾燥や性欲の低下につながっていきます。
  • 精神的/社会的原因
     憂鬱ゆううつな状態や、長期間のストレス、性的虐待の経験は、性機能障害の原因となります。避妊を心配したり、逆に出産を希望することもストレスにつながり、性機能障害の原因となりうるのです。不妊症は女性にとって大きなストレスなのです。
     また、パートナーとの関係の悪化も原因となります。また、日本では少ないかもしれませんが、文化的宗教的問題も原因となりうります。

 4)危険因子

 女性性機能障害を招きやすい事柄(危険因子)について、まとめてみます。

  • 憂鬱
  • 心血管障害
  • 脊髄損傷や多発性硬化症などの神経疾患
  • 肝機能もしくは腎機能低下
  • 抗鬱薬や血圧低下薬などの薬剤
  • 感情的または精神的ストレス(パートナーとの関係でのストレスも含む)
  • 性的虐待の経験

 もし女性のあなたが性機能障害で悩まれているのであれば、専門医を受診すべきです。女性の方がドクターにセックスのことについて話すことは恥ずかしいことであると思われます。しかし、パートナーとの関係も含めて、これは非常に重要な問題であり、医師を受診するのに十分な理由となります。

 しかし、男性の性機能障害についてはバイアグラの登場以降メジャーに語られるようになってきましたが、女性の性機能障害については診察できる婦人科もしくは泌尿器科医師(それも、女性医師の方が話しやすいでしょう)が少ないのが現状です。現在、日本性機能学会の専門医や、日本性科学会のセックスセラピストやカウンセラーが女性の性機能障害の診療に携わっていることをお知らせいたします。

 さて、次回は女性性機能障害の治療と、新しく登場した女性性機能障害治療薬の「アディー」についてまとめてみます。


 
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オトコのコト_小堀善友顔120px20150821

小堀善友 (こぼり よしとも)

泌尿器科医 埼玉県生まれ

2001年金沢大学医学部卒、09年より獨協医科大学越谷病院泌尿器科勤務。14年9月から米国イリノイ大学シカゴ校に招請研究員として留学。専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症。詳しくはこちら
主な著書は『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)。詳細はこちら

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1件 のコメント

私はこれかも…。

笑った青鬼

昨年12月に27年の結婚生活を解消しました。 直接の原因は、まさに妻である私の著しい性欲減退です。現在56歳ですが、ほぼ十数年前から性欲が減少し...

昨年12月に27年の結婚生活を解消しました。
直接の原因は、まさに妻である私の著しい性欲減退です。現在56歳ですが、ほぼ十数年前から性欲が減少してきたように、思います。生理は55歳まで、基軸正しくあり、いわゆるホットフラッシュなどの不定愁訴はありませんでした。
主人に性的興奮を全然感じなくなりました。主人はオーラルセックスが好きで、フェラをして欲しいと言われ、嫌で嫌でたまりませんでした。それは主人の外見が加齢で衰えたからと思い「痩せたらしてあげる」と誤魔化していました。50代に入ると、さらに悪化して「どうしてお風呂と排泄以外に、下半身をさらさなくてはいけないか」と考えるように。主人は数ヶ月も拒絶すると、怒りっぽくなるため、仕方なく応じていましたい。主人の平日休みに、娘たちが出勤してしまうと、「さあ、セックスしよう」と迫られることが苦痛でした。それで体調が悪いことを理由に断っていめいましたが、ある時「我慢の限界だ、やらせろ」となり、行為が始まったのですが、濡れてもいなく、完全にマグロ状態でした。主人はさすがにショックを受け、私の愛情がなくなったと思ったようです。しばらく別居して様子を見ようと、当初は話し合っていましたが、別居中の生活費で折り合いがつかず。調停離婚しました。
この病気のことを知っていたら、離婚せずに修復できたのでしょうか。

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