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宋美玄のママライフ実況中継

コラム

バリアフリーと程遠い街、東京

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お正月は、出産後初旅行へ

八坂神社に初詣しました

 新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年のお正月は家族で京都に泊まりがけで行って来ました。もともと分娩予定日が12月5日だったので、お正月は自宅で過ごそうと思っていたのですが、出産が予定日より2週間早まったため、出かけることにしたのです。もともと旅行が大好きで自宅にずっといるのが苦手なため、乳児を連れての産後初旅行となりました。新幹線は、駅構内の移動を含めてとても快適でした。息子はひたすら寝ているか授乳ケープの下でおとなしく母乳を飲んでいて、娘は親の膝の上に座り、小さなままごとグッズでずっと遊んでいました。娘が乳児の頃に新幹線で帰省したときは、泣きやまない娘をひたすらデッキで抱っこしてゆすったり、歩き回りたがる娘を何度も席から立たせて歩かせたりと、つらかった思い出が多いので、それに比べると今回の移動はとても楽で、他の乗客の皆さんにもあまりご迷惑をかけなかったと思います。

ベビーカーで苦労、段差や階段

 産後6週間がたち、体力がだいぶ戻ってきたので、かなり歩くようになりました。娘の習い事の送り迎えや、買い物、散歩などですが、今週あたりから歩く距離を増やしています。ずっと家に閉じこもりがちだったので、脚力が衰えており、このままでは趣味の登山に復帰できないとの焦りからです。ベビーラップ(布タイプの抱っこアイテム)で出かける時は、息子はまだ軽いし、自由に動き回れるのですが、ベビーカーで出かけると久しぶりに不自由な思いをしました。普段、健常な大人として街を歩いていると、気付きもしない段差や階段でしか行けない場所が多数あるのです。

 娘がベビーカーを卒業してから忘れていたのですが、妊娠して体調が慢性的に悪くなってから、東京はバリアフリーとは程遠い街であったことを思い出しました。通勤の際に、どういうルートを通っても必ず階段を二つ三つは上り下りしなくてはならず、妊娠中はなんとか根性で目的地へたどり着いていましたが、ベビーカーだとそうもいきません。よく使う渋谷駅は伏魔殿みたいなもので、どういうルートをたどっても地下鉄の改札口へ行けないので階段近くの商店の店員さんに階下にいる駅員さんを呼んできてもらったこともあるくらいです。こんなことで、4年後のオリンピックは大丈夫なのでしょうかね。

ロンドンでは至る所で手助けが

 以前少しだけロンドンに住んでいたことがあるのですが、ロンドンの街も段差がいたるところにありました。地下鉄の乗り換えも複雑で、階段でしか乗り換えられないところも多かったです(最後に行ったのは2年前です)。しかし、大きなスーツケースを抱えていると、すぐに運ぶのを手伝ってくれる人が現れるので、ベビーカーに子供を乗せて移動している人も立ち往生しなくて済んでいるようです。長距離バスの切符売り場にできた長蛇の列で、小さな子を何人か連れた人が「お先にどうぞ」と言われて並ばずに買っているのも目にし、もともと子連れにはかなり親切な国である印象ですが、子連れだけでなくハンディキャップのある人にもすっと手を差し伸べてくれます。

誰もがいずれは不自由に

 日本ではシャイな人が多いため、困っている人を助けるというハードルが高いのは仕方のないことだと思います。ただ一部には「だったらベビーカーで出かけず抱っこすればいい」「そもそも子連れで出かけるのは親のエゴ。ほんの数年なので外出は控えるべき」などの暴論を正論かのように言う人がいるのも事実です。荷物が多ければ抱っこで出かけるのは危険が多いですし。

 今後高齢化が進むのは確実で、健常人目線の今の街ではますます困る人が増えるでしょう。オリンピックという機会を利用した街のバリアフリー化も大事ですが、誰もがいずれは足腰が立たなくなると認識して、あらゆるハンディキャップの人に皆が優しくなってほしいです。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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10件 のコメント

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地方でも同じです

きっき

東北地方の県庁所在地在住者です。 1歳の娘を育てています。 先生と全く同じことを感じていたので、コメントさせていただきました。 まだ娘が3、4ヶ...

東北地方の県庁所在地在住者です。
1歳の娘を育てています。
先生と全く同じことを感じていたので、コメントさせていただきました。

まだ娘が3、4ヶ月の頃、ベビーカーを使ってちょくちょく散歩に出ていました。
ですが、歩道は狭くて自転車とのすれ違いすらできないし、何よりでこぼこが多すぎて娘が脳震盪を起こすのではないかと心配でした。
結局、高いお金を出して買ったベビーカーは、間も無くお蔵入りになりました。

先生もおっしゃる通り、妊娠や子育てをきっかけに気づく社会の不便さ、不親切さというのは多いと思います。
そこで気付いたことは、おそらく体の不自由な方やお年寄りも同じように感じていることなのではないかな、とも思っています。
行政に全ての対応を求めるのは予算の都合上、難しいことでしょうから、まずは自分が手を差し伸べることから始めようと思い、ちいさなおせっかいを日々心がけています。
ベビーカーや車椅子、杖などでの外出がもっと楽になるといいなぁ。

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大都会ターミナル?新宿駅

アリエヘンの勇者

新宿駅はホント大嫌い!山手線ホームから東口改札に直でいけるエレベーターがない!駅員に誘導され中央線ホーム?から迂回しなくてはいけない。しかも東口...

新宿駅はホント大嫌い!
山手線ホームから東口改札に直でいけるエレベーターがない!
駅員に誘導され中央線ホーム?から迂回しなくてはいけない。
しかも東口改札を出て(B1階から)地上に出るためのエレベーターが1機もない!!
全部階段!
結局ルミネの中の、奥のエレベーターで出るしかない!!
しかもルミネも8階建てなのに障害者専用トイレは1か所しかない!
(これは、ルミネに苦情を言ったら改善し増やしますと確約してくれました)

2020年、世界中からパラリンピックで障害者が来るというのに。
もちろんベビーカーも。
こんな恥ずかしい駅はない!!
東京駅のほうがシンプル。

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私もフランスでは手伝いますが

まさき

私はパリとボルドーしか知りませんが、シャルルドゴール空港は何度スーツケースを持ち上げて運ばないといけないのか数え切れませんが、成田から杉並の自宅...

私はパリとボルドーしか知りませんが、シャルルドゴール空港は何度スーツケースを持ち上げて運ばないといけないのか数え切れませんが、成田から杉並の自宅までただの一度もスーツケースを持ち上げることはありません。[ぱぱちゃん]のおっしゃるとおり日本では褒めてもセクハラ、手伝ってもセクハラ、子供に話しかけれは不審者なので老人以外を手伝うことはありません。世界最高水準に安全な都市で何を警戒しているのでしょうか?なんでもかんでも『海外では〜』と言う人はその辺を考えることが先だと思います。

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