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Q 減らない待機児童
切り札「こども園」普及遅れ
県立高校2年。
Q 近所に新しく保育所ができたの。近くには幼稚園が2か所もあるのに……。
A 幼稚園と保育所は、似ているようで、実は違うんだよ。
Q どう違うの?
A 小学校に入るまでの未就学児が通うのは同じだけれど、保育所は、保護者が働いたり親を介護したりして、日中に家庭で世話ができない0~5歳の乳幼児を預かるところ。幼稚園は、3~5歳児に教育を行う「学校」の一種という扱いなんだ。
Q そうか。私は両親が共働きだから保育所だったのね。記者さんは?
A 幼稚園だったよ。両者の最大の違いは、幼稚園は満3歳以上の未就学児なら誰でも入ることができる。それに対し、保育所を利用するには、保護者の事情や保育が必要な時間などが考慮されるんだ。
Q 保育所には、いろんな条件があるのね。ほかには?
A 教育や保育を行う時間の長さが違う。幼稚園は1日だいたい4時間、保育所は8時間。また、幼稚園には夏や冬に長期の休みがあるが、保育所はない。中には通常の受け入れ時間の前後や長期休みの間に預かってくれる幼稚園もあるけれど、親が働いている家庭にとっては、やはり保育所の方が預けやすいね。
Q 同じ年代の子どもを預かるのに、別々の制度になっているんだ。ややこしいね。
A 多くの先進国では「全ての子どもに平等に教育や保育を提供する」という観点で制度がつくられている。日本でも、親の都合で利用できる施設が異なる状況を改めようと「幼保一元化」が議論され、2006年からは幼稚園と保育所の役割を併せ持つ「認定こども園」という制度がスタートしたんだ。
Q 一つに統一するはずが、三つ目の種類ができたんだ。
A こども園導入の背景には深刻な「待機児童」の問題もある。都市部では共働き世帯が増え、保育所を利用したいのにできない人が急増した。一方で少子化が進み、幼稚園は相次いで定員割れを起こしている。このアンバランスを解消することも、ねらいの一つだった。
Q うまくいったの?
A 待機児童はまだ2万人以上いて、なかなか減らないんだ。幼稚園は全国に1万1700か所、保育所が2万3500か所あるのに、こども園は2836か所とまだ少ない。今年4月に始まった「子ども・子育て支援新制度」では、保育所や幼稚園のこども園への移行を促すことで、普及を目指している。このほか、保育所より少ない人数を預かる小規模保育、保育者(いわゆる保育ママ)が自宅などで面倒を見る家庭的保育なども新たに導入されたよ。
Q 保育サービスが、どんどん利用しやすくなるといいね。(小沼聖実)
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