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「ぽかぽか技術」…入浴剤、血管や肌に作用

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 寒くなるとお風呂が恋しくなる。入浴剤を入れた湯船にゆっくりつかるのは気持ちがいい。でも、入浴剤を入れた湯と「さら湯」では、どんな違いがあるのだろう。

 日本浴用剤工業会によると、入浴剤は炭酸ナトリウムやコハク酸などを組み合わせた「炭酸ガス系」や、硫酸ナトリウムなどを主成分とする「無機塩類系」、生薬成分を配合した「薬用植物系」に大別される。

 例えば、花王は炭酸ガス系の「バブ」の開発を続けている。炭酸ガス(二酸化炭素)は皮膚から毛細血管に浸透する。血管内では二酸化炭素の濃度が高まって酸欠と似た状態になり、体は酸素を運ぼうと、血管を拡張させ血流を増やす。この時、お湯で温まった血液が全身を巡るので、体の芯まで温まる。岡山大学との共同研究では、入浴から10分で、さら湯より血流が増えることが確認された。

調香師が香りを確認しながら入浴剤を調合する(つくば市にあるバスクリンの研究所で)

 血管には、寒暖の差に応じ収縮したり拡張したりする「血管応答性」がある。加齢や生活習慣の乱れでこの働きが低下すると、冷えやむくみの原因になる。炭酸ガス系の入浴剤を使い続けると、血管応答性が向上することが2012年の京都大学との研究でわかった。冷え性は自律神経の乱れが原因とされる。炭酸ガス入浴剤を4週間使い続けたところ、神経の活動量が約4割増えたという。

 一方、「無機塩類系」の入浴剤では、硫酸ナトリウムなどの無機塩類が皮膚の表面のたんぱく質と結合して、膜を形成する。この膜が熱の放散を防ぐため、湯冷めしにくい。

 バスクリンは無機塩類を配合した入浴剤「日本の名湯」シリーズを開発した。「すべすべ」「ぬるぬる」「さっぱり」など、温泉ごとに湯ざわりは違う。茨城県つくば市にある同社研究所は調合を繰り返して製品化する。「入浴剤評価室」と呼ばれる部屋には12個の浴槽がずらりと並び、粉の溶け具合や香りなどをチェックしている。

 温泉は、成分をなぞれば簡単に再現できるものではない。道後温泉(愛媛県)の湯はアルカリ成分が強く、そのまま入浴剤にすると、水道水のカルシウム成分と化学反応を起こして浴槽を傷める。バスクリンの興津太さん(49)は「試行錯誤の繰り返し。1日3、4回風呂に入って、自分の肌で確かめている」と苦労を話す。湯の色も工夫され、本来は無色透明の熱海温泉(静岡県)は温かく見えるよう赤く色づけされている。

 日本温泉気候物理医学会の大塚吉則理事長(60)は「足湯をするだけでも体は温まる。遠い温泉まで出かけずとも『転地効果』が期待できる」と話している。

 (野依英治、小日向邦夫、藤沢一紀が担当しました)

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