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腸内細菌を知ろう

元気なう

(1)善、悪、日和見に大別

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 人間の大腸内には、約1・5キロ、600兆~1000兆個もの細菌がすんでいる。

 「腸内細菌は、健康に深く関与しています。しかし、日本人の腸内環境は悪化の一途をたどっている」。内外約8000人の便を調べ、「うんち博士」と呼ばれる理化学研究所特別招聘しょうへい研究員の辨野べんの義己さんに聞いた。

 口から肛門までつながる消化器官の全長は約8~9メートル。このうち小腸が6~7メートル、大腸が1・5メートルで、腸はとても長い。これまで、「食べかすをためておく場所」ぐらいにしか思われていなかった大腸に、腸内細菌の大半がすんでいる。

 健康的な便は、重さの80%が水分で、これを除いた固形成分のうち、食べかすは3分の1にすぎない。残りの半分は、消化で大事な栄養吸収をしている腸の粘膜がはがれ落ちたもの。もう半分が腸内細菌だ。

 「毎回の便の中に、十数グラムの腸内細菌が排せつされている。大量の菌を含む便を調べれば、どんな腸内環境かわかる」と辨野さん。

 腸内細菌は、善玉菌、日和見菌、悪玉菌に大別される。その構成は一般的に2対7対1。善玉菌は小腸から送り込まれた食べ物のかすから糖類を分解して、免疫力の調整やビタミンなど体に有用な物質を作るなど、良い働きをしている。

 反対に悪玉菌は、脂肪を分解するために使われた胆汁酸を発がん促進物質に変えたり、たんぱく質を分解して発がん物質など有害物質を発生させたりする。

 大半を占める日和見菌は勢力の強い方になびく。働きが未知の菌もいる。善玉菌が強い時はいいが、悪玉菌が善玉菌を上回ると悪玉菌と一緒に悪さを始める。

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