健やかキッズ
妊娠・育児・性の悩み
アレルギー対応のケーキ…取扱店や種類増加
小麦粉、卵など使わず
食物アレルギーの子どもも楽しめるクリスマスケーキが人気だ。アレルギーの原因となる小麦粉や卵などを使わずに作られ、扱う店や種類が増えている。原因物質の混入防止を行っているかなど、製造方法を確かめて購入したい。
埼玉県内に住む主婦原田恵美さん(37)の長女(5)と次女(1)は、卵や牛乳などにアレルギーがある。幼稚園に通う長女は、他の子と一緒に給食を食べられず、弁当を持参している。「特別な日だけでも、他の子と同じようにケーキを食べさせたい」と原田さん。3年ほど前からアレルギーに配慮した市販のケーキを購入し始め、「手作りは難しいので、取り扱う店が増えてありがたい」と話す。
文部科学省の2013年調査では、全国の公立小中高校で食物アレルギーのある児童生徒は全体の4・5%、約41万人だった。ケーキの材料である小麦や卵、乳に反応する人は多く、アレルギーに配慮したケーキは、代わりに米粉や豆乳などを使っている。
東京都中野区のケーキ店「洋菓子工房きらら」は、アーモンドパウダーや豆乳などでケーキを作る。しっかりした生地に、あっさりした甘さのクリームが合う。クリスマスケーキは5185円(税込み)で、全国に冷凍配送(有料)する。昨年は約600件の注文があった。
息子がアレルギーだったという店長の小松一恵さん(47)は「アレルギーがある子にケーキを与えるのを諦める親は多い。材料の配合の割合などを試行錯誤し、見た目も味も一般のケーキと変わらないおいしさを追求している。アレルギーを気にせず、家族で一緒に楽しんでほしい」と話す。
大手メーカーやコンビニも販売に力を入れる。
「シャトレーゼ」(山梨)は12年前から、小麦粉と卵を使わないクリスマスケーキを販売。昨年は約1万個が売れた。スポンジとクリームの原材料を見直すなど改良を重ね、今年は、乳を使わないチョコプレートをつけた。「コクのあるクリームやふんわりとしたスポンジなど、一般のケーキにもっと近づけたい」と広報担当者は話す。
「銀座コージーコーナー」(東京)は13年に、小麦粉と卵、乳を使わないクリスマスケーキを発売。今年も注文が多いことから、売り切れる可能性もあるという。「イオン」や「ローソン」なども取り扱う。
扱う店が増える一方、消費者庁の事故情報データバンクによると「アレルギー対応ケーキを食べたらアナフィラキシーショックを起こした」「卵不使用のケーキを注文したが、受け取ったのは通常商品だった」といったトラブルも起きている。
国立病院機構相模原病院臨床研究センターの海老沢元宏さんは、「アレルギーに配慮したケーキを取り扱う店の中には、小麦粉や卵などを使った一般のケーキも作っている場合がある。製造過程での混入を防ぐなど、対応がきちんとできている店ばかりとは限らない」と指摘。販売実績を踏まえつつ、店側に原材料や製造過程について質問し、十分な知識や理解があるかどうか確かめておきたい。(矢子奈穂)
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。