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Dr.徳田の「総合診療の出番です」

からだコラム

[Dr.徳田の「総合診療の出番です」]禁煙 面接で動機付け

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 喫煙はさまざまな病気の原因となります。動脈硬化症、がん、肺気腫などが有名です。肺気腫は慢性閉塞性肺疾患(COPD)ともいわれており、原因のほとんどがたばこです。

 喫煙歴を聴かなくても、COPDがあることは診察でおおよそわかります。息切れを訴えて受診した70歳代の男性もそうでした。顔は、酸素不足から血が濃くなり(多血症といいます)、両頬があかくなっていました。「閉じた財布の口」のように口をすぼめた呼吸も特徴です。無理に息を吸おうとするので、首筋の筋肉が発達。胸郭の前後が拡大し、胸の形がビールだる状に膨らんでいました。

 最終的には呼吸機能検査で診断を確定しました。たばこはやめるように指導し、肺炎球菌の予防接種と毎年のインフルエンザ予防接種をお勧めしました。

 患者さんの生活習慣に介入するのはしばしば困難です。しかし、この男性にとっては、禁煙は非常に重要であると考えましたので、一生懸命働きかけました。禁煙などの行動変容を促すためのカウンセリングの方法に「動機付け面接」というのがあります。患者さんの生きがいを達成するために、普段の行動を変えることの必要性について動機付けを行い、患者さん自身から「変わりたい」という発言を引き出すのです。

 男性は、外出するのも不自由な状態でしたが「地域の緑化活動に参加したい」という思いがあることがわかりました。「活動には肺の健康が大切ですね」などとお話ししたところ、自ら決意されました。3か月かけて、50年吸っていたたばこをやめることに成功。禁煙できてとてもうれしかったご様子で、行動変容に成功した後の外来で患者さんの表情はとても明るくなっていました。(徳田安春・地域医療機能推進機構顧問)

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