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「ぽかぽか技術」…繊維の間に空気ためる肌着

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 肌寒い日が続き、衣料品店で冬物を買い求める人も多いだろう。毎日身に着ける肌着で欠かせないのが、暖かさと動きやすさを兼ね備えた機能性だ。

 起毛で生地を厚手にした「ババシャツ」などは敬遠され、最近は薄手でも暖かい肌着が人気を集める。こうした新しい製品に共通するのが、繊維と繊維の間に空気の塊をつくって、熱を逃さない工夫だ。

 空気は、綿やポリエステルなどの繊維と比べて、熱の伝わりやすさを示す「熱伝導率」が低く、断熱性が高い。ユニクロと共同で保温性の高い肌着「ヒートテック」を開発した東レ繊維加工技術部GO技術室室長の田畑次郎さん(48)は「発泡スチロールや二重窓は空気の保温性を生かしている。同じ仕組みを、肌着にも応用した」と話す。

 2003年の発売当初は、繊維の芯に穴を空ける「中空糸ちゅうくうし」と呼ばれる方法を採用。綿をお湯で溶ける糸と一緒に紡績したうえで、中を溶かしてマカロニのような空洞を持つ構造にすることで、保温機能を高めた。

ヒートテックのサンプルを手にする東レの田畑さん(左)ら。今も改良が続けられている

 ところが何年かたつうち、この糸は肌触りが硬く、柔らかな触感が求められる女性用には向かないことがわかり、方向転換することに。アクリルを髪の毛の10分の1程度の0.01ミリまで細くして、糸の間に細かなすき間を多数つくることで、生地の厚さが0.4~0.5ミリと薄いのに、暖かさを維持することに成功した。

 ユニクロ戦略素材開発部生産部部長の西川雅昭さん(47)は「人の肌から出る水蒸気を吸着し熱に変える性質があるレーヨン、伸縮性を持つポリウレタンなど計4種類の繊維を編み込んで、暖かさに加え、着やすさ、動きやすさも追求している」と言う。

 肌着を着る時の「ヒヤッとする冷たさ」の解消を狙った商品も出始めている。このヒヤッとする感覚は、人の肌が持つ熱が生地に奪われてしまうために生まれる。イオンなどが開発した「ピースフィット」は、複数の太さを持つアクリルを使って編み方を工夫することで、生地が肌に接する面積を減らし、熱を奪いにくくした。イオンリテール鞄服飾・インナー商品開発部マネージャーの谷崎哲さん(40)は「生地の凹凸ですき間もできるので、空気もたまりやすい」と利点を強調する。

 文化学園大学の小柴朋子文化・衣環境学研究所長(58)は、「最近の高機能肌着は『空気を着る』という考え方で開発されている。空気が動くと、熱も移動してしまうので、空気が動きにくい薄いすき間を多くつくることで、高い保温性を確保している」と話している。

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