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性とパートナーシップ

妊娠・育児・性の悩み

「夫婦の悩み」泌尿器科医に聞く(下)女性もはっきり「要望」伝えて

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順天堂大浦安病院泌尿器科准教授の白井雅人さん

 ――どうしてもセックスレス、歩み寄りができない場合もマスターベーションで勃起や射精は維持した方がいいということでした。ただ、男性はそれで満足できるものなのでしょうか。

 「マスターベーションの補助具であるTENGAのような商品を使って下さいと勧めることもあります。自分の手でするよりは、満足感はあると思いますね。自分のマスターベーションでしか射精ができない人もいるのですが、誤った方法でしているのが、射精障害やセックスレスにつながっている場合もあるのです。ぎゅーっと強く握りすぎだったり、シーツに押しつけたり、壁や床に押しつけたりといった『床オナ』ですね。クセだと思うのですが、誤った方法に慣れて、そういう刺激でしか射精できなくなると、普通のセックスではちつ内に射精できなくなります。遅い、早いの原因にもなります」

 ――なぜ誤った方法を身につけてしまうのですかね。

 「クセなんだと思いますが、マスターベーションって正しい教育がされていないですよね。例えば、自分もマスターベーション教育を受けたかというと受けていないわけですよ。でも、中学、高校で必要だと思います。講演会をした時に、高校生に向けて話したことはあります。握りしめすぎてはいけない、3本指にしなさい、ピストン運動にしなさいと。コンドームを付けたうえでの、コンドームマス法でもいいですよ。床オナは厳禁ですよなどですね。射精障害の4、5割は誤ったマスターベーションが原因と言われています。刺激が強すぎたり、間違った刺激だったりするのです。いわゆるピストン運動でないと、膣の中で動かして射精できるようにはならない。そういう意味ではTENGAのようなグッズは有用だと思います」

 ――セックスのズレの原因として、アダルトビデオでセックスを学んで、それを実際の女性に対して実行してしまうということがあるとよく言われます。女性としては、気持ちよくないし、痛いし、不快だと言って、セックスにいやなイメージを持っていく。

 「これは非常に大問題だと思います。AVが教科書というのは問題で、私が前々から言っているのは、セックスの教科書が欲しいということなんです。私自身もセックスをどこで学んだかと言えば、AVであったり、エロ本であったり、正しい知識とか豊かなセックスだとかとても言い難いものから学んでいるんですね。非常に恐縮な話なんですが、私が初めて見たAVは女性の肛門に入れる内容でした。聞いていた話と違うな、違うところに入れている気がするんだけどという映像だったんですね。違う世界にいきなり入っちゃった(笑)。こういうこともあるので、ゆがんだ情報を修正するために、正しい知識というのは必要だと思うんですね」

 ――しかし、文科省推薦とか言ったら、つまらなくなりそうですね。子供も見向きもしなそうです。

 「日本性科学会とか日本性機能学会が推薦や監修をしたビデオや本があってほしいですね。インターネットでダウンロードできたらと思うんです。買いに行くというのではハードルが上がるので。フェテシズムはあってもいいと思うのですが、それを生身のパートナーに、いやがっている人に押しつけるのはどうかなと思うんですね。例えば、潮を吹かせなければならないというAVのパターンがあり、現実に潮を吹く女性もいるかもしれませんが、必ずしも気持ちよくないということもある。場合によっては爪も伸びた状態で指を入れて、膣が血だらけになったという話もあります。正しいAVって必要じゃないかと思います」

 ――先生のお子さんもスマホ世代。友達と性情報を共有することも少なくなっているのでは。

 「そうですね。今の若い子は、性の情報を得るのがパーソナルになっていますよね。ちょっとインターネットを開けば、すぐにエロ動画が見られて、なおかつ私のアナルセックスAV体験じゃないですけれども、これがセックスというものなのかと思い込む危険性は大問題じゃないかと思いますね。何らかの学会が推薦し、例えば相手と自分の心と体を尊重しながら、お互いが気持ちよくなれるセックスの指標のようなもの、教育的なものが必要だと思います。セックスのスタンダードを示すものですよね。そこから、お互いの好みもあると思いますので、それはコミュニケーションで探しながら、足していけばいい。これは親しい友達から聞いたのですが、AVを見ていて、いきなり後ろから挿入した経験があるそうです。セックスはそういうものだと思っていたと。彼女はカンカンに怒ったそうですが、『え? 後ろから入れるものじゃないの?』とあぜんとしていたそうです。これはやはりAVの影響だと思うんです。通常はいきなり後背位というのはないだろうし、正常位からだと思いますが、こういうことが知識として画像として必要じゃないかと思います」

 ――女性側に注文をつけるとしたら、先生は何を言いますか?

 「何でも言ってほしいと思いますね。自分の好みでも、嫌なことでも。私から言わせてもらえば、女性がこうしてほしい、ああしてほしいと思っていることを察する力は、男性にはないです(キッパリ)」

 ――(笑)はっきりとおっしゃいますね。

 「男性には察する脳はないです。そうだとしたら、ああしてほしい、こうしてほしいというのは、言葉で言うか、態度で示すかなんですが、できれば言葉で言ってほしいです。面倒くさいと思うかもしれませんが、男性は察する能力がありませんので、態度で示されてもまだ気がつかないかもしれません。それに、女性から言葉ではっきり要望を言ってもらうのは、男性にとってはうれしいことであると思うんですよね」

 ――しかし、日本には、女性がはっきりセックスについて要求を言うのははしたないとか、そもそも性欲があることも言いにくいという状況がありますよね。日本全体、ロリコン文化と言いますか、何も知らない無垢むくな女の子に、俺が性の喜びを教えこんやるといった妄想がまだありますよね。

 「できたら2人ですることですので、本当は察することができたら一番いいのですが、できたらサインを出してほしい。しかし、男性はサインに気付きにくいと考えていただいて結構でございますので(笑)、私自身もそうですが、できたら口に出す。口に出しにくければ、男性の手を持っていって、こうしてほしいとか、ここを触ってほしいと誘導してほしい。そして、いやなことはいやだと言ってほしいのです。宋美玄先生のデータですが、女性の4割がセックスで嫌だと思っても、言葉にしないとありました。でも2人で協力して行うことですから、一方が我慢していると、それこそ性機能障害やセックスレスにつながると思うんです。いやよいやよも好きのうちはあり得ません。男性の妄想だと思います」

 ――しかし、AVでそういうパターンが多いから、男性は勘違いしていますよね。

 「いやだいやだと言っているうちに、気持ちよくなっていくというお決まりのパターンですよね。でも、それはあり得ない。ファンタジーなんだと、女性の口から嫌なものはいやなんだと言ってほしいですね」

 ――男性のデリケート問題について、女性に注文は?

 「やはりデリケートですので、ペニスが小さいとか、射精が早いとか、性機能について傷つけられると、なかなか立ち直れないぐらいのショックを受けると思ってもらったほうがいいですね。これは男性特有かもしれないですね。性機能、ペニスに関する批評とか、持続時間についての批判は、最大限配慮していただけたらと思います」

 ――「おだてる」ということを現実的な解決策として、宋先生は示されていましたが。

 「おだてるのはいいですね。褒めて育てるというのは、男性にとって、相当いいのではないでしょうかね。テクニックで頑張ったら、女性から『気持ちよかった』と言われるだけでものすごくうれしいものなんですね。ぜひ、おだてて、いい男に育ててやってください」

 ――ところで、心因性のセックスについての悩みに対処してくれる泌尿器科は少ないですね。

 「正直、精神科がメインで、少ないと思います。泌尿器科の医学教育で、セックスについて満足な内容のカリキュラムを設けているところも少ないですし、私のところでも、複雑な問題になると、日本性科学会副理事長で、セックスに関するカウンセリングがご専門の阿部輝夫先生にお願いすることが多いです」

 ――先生はそもそも、どんな問題意識から性機能の診療について究めようとされたんですか?

 「恥ずかしながら、父親(日本性機能学会の初代理事長で東邦大泌尿器科名誉教授の白井将文さん)の影響がとても大きいです。元々私は、『誰が医者になるか! 誰が性機能なんてやるか!』と反発していたのですが、前立腺がんを勉強しようと留学した米国のボスが、『俺はお前の父親の論文を読んで、性機能を志した。おやじがEDを研究していたのだから、お前もやれ』と命令されました。来る日も来る日もネズミのおちんちんをいじっていたら、また面白くなってきちゃってですね(笑)。学生時代は脳神経外科とか循環器内科に興味を持っていたのに、ずっと反発し続けながら結局は父と同じことをやっているんですよね。2代にわたって、人様のおちんちんを扱っているという変態親子でございます(笑)」

 ――(笑)留学先から帰られてすぐ、ED外来を開いたそうですね。

 「2003年に帰ってきて、翌年からですね。患者さんから、勃起がうまくいって、結果として膣内で射精ができて、子供ができて、『先生のおかげです』って涙を流しながら喜ばれたことがあって、それでやめられなくなったということはありますね。赤ちゃんを連れて来てくれたご夫婦もいたんですよ。ご主人は性欲はあるんだけれども、膣内に挿入する前に萎えてしまって、子供ができなかったんです。薬がすごく効いて、自然妊娠で子供を授かって、とても感謝されました」

 ――勃起や射精がうまくいく、人が人とセックスできるというのは、どういう意味を持つことなんでしょうね。

 「命にかかわることではないのですが、セックスができるようになると、顔つきが違ってくるんですね。炎症性の腸疾患の方で、何度も入院を繰り返して、勃起がうまくいかなくなった30代の患者さんがいるんです。会社もリストラされて、すごくしょげて、背中を丸めて小さくなっていたんですが、バイアグラを使ったら、次に来た時に別人になってしまっていたんですね。自信に満ちあふれて、彼女から別人みたいと喜ばれたとおっしゃっていました。性機能が働かないということは、手をなくしたとか、声が出なくなったというのと同じような感触ではないかと思います。今まで当たり前にあったものが失われる。セックスはできないまでも、男性にとっては、勃起するそのこと自体に意義があるんじゃないでしょうか」

 ――男性の何にかかわるのですか?

 「男性そのものだと思っていますね。生きる生命力みたいなものかなと思いますね。よくセックスの性は、生きるにつながると言われますが、それは本当にその通りだと思います。セックスがうまくいけば、生命力が増すような印象ですし、勃起がうまくいかないことで性欲を抑制するという影響もあると思います。うまくいかないからもういいやと性欲を抑えて、女性からのセックスの求めを拒否することもあると思います。勃起がうまくいって自信を持つと、性欲も回復するという感じがするんですよね。それこそ80歳過ぎたおじいさんが、勃起がうまくいくというと、にこにこして来られるので、生きるにつながるというのはよくわかりますね。もし、勃起に自信がなくて、妻の求めから逃げているのであれば、泌尿器科に相談してほしいと思います」

(終わり)

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17件 のコメント

夫婦関係で悩んでます。

yasuko

31歳専業主婦。夫婦関係で悩んでます。私が仕事をしていた関係で、別居をして最近一緒に住み始めました。子供が本当にすぐ出来てしまい今は赤ちゃんがい...

31歳専業主婦。夫婦関係で悩んでます。

私が仕事をしていた関係で、別居をして最近一緒に住み始めました。子供が本当にすぐ出来てしまい今は赤ちゃんがいます。

夫が毎朝毎晩トイレが長く、よくお腹がゆるいんだよと言っており何の疑問も抱いてませんでした。
最近ある事で扉を開ける事態となり、夫が朝晩自慰行為をしている事を知りました。
妊娠以来出産した後も夜の性生活もあまりなく、愕然としました。

私もかなり性欲ある方なので、その後夫と話し合い多少は改善?がみられたのでいいかなと思っていたのですが、喉元過ぎれば暑さを忘れるかな、また同じ様な状況かつ最近はコソコソと隠れてするようになってしまいました。

多分動画見ながらひとりでする事が好きなんだと思います。私は性欲強いですが一人は嫌なのと、夫はまわりに褒められる私の手料理よりもインスタント食品の方が好きなので、自分の存在価値ないし本気でバリバリしてた仕事復帰して別居婚に戻りたいと思ってしまいました。

思いつめて行きどころがわかりません。
いっそ夫を嫌いになれたらどうでもよくなるのでしょうが、産後ホルモンのせいか?夫におかしいくらい恋愛感情がわき、好き過ぎた上で色々出来事が重なるので、逆に度々離婚したいとさえ思う様になってしまいました。子供がいるのでしませんが。

行き詰まった私にアドバイス下さい。

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被害妄想たっぷりなコメントに疑問

ネトゲ未亡人

SEXレスを解消したい、相手を理解したいという気持ちがなければ、そもそもこのサイトを見ていないと思うのですが…このサイトを見ている=パートナーと...

SEXレスを解消したい、相手を理解したいという気持ちがなければ、そもそもこのサイトを見ていないと思うのですが…
このサイトを見ている=パートナーと良き関係を気付こうと努力している、相手を理解しようという気持ちのある方々だと思うのですが、違うのでしょうか?
被害妄想たっぷりなコメントを見て疑問に思いました。

体験談を語る上でキツイ表現があるとすればそれは、その人がそれだけそれだけ傷つけられたからですよ。
私もそうですが、思い出しただけで昨日の事のように心が痛みます。
でもその怒りは自分を傷つけたパートナーに向けられたものであって、ここを読んでいる男性全てに向けられたものではありません。
ただし、自分も同じことをパートナーにしてしまったという心当たりがあるなら、反省して頂ければ今後の為になるのではないでしょうか。

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「いや」という言葉について(編集部によってタイトルを変えました)

みみ

「でも、「いや~だぁ」的に誘い文句をいう女性はいます。言葉としては、イヤ、はずかしい、となりますけれど、合意です。」とのことですが、女性が、いく...

「でも、「いや~だぁ」的に誘い文句をいう女性はいます。
言葉としては、イヤ、はずかしい、となりますけれど、合意です。」

とのことですが、女性が、いくら、「嫌だ」と言っても、「いやーん」という合意だと思った、と勝手に解釈する男性がいる、ということです。「嫌」はもっと頑張ってやってくれ、という意思表示だと勘違いする男性がいる、ということです。そして、世間では、男性の方は合意だと思っていたのだから単なる勘違いですね、と解釈する人が多い、ということです。

なので、男性の医師が、

「いやだいやだと言っているうちに、気持ちよくなっていくというお決まりのパターンですよね。でも、それはあり得ない。ファンタジーなんだと、女性の口から嫌なものはいやなんだと言ってほしいですね」

と啓蒙してくれるのはありがたいです。

女性の方も、やりたいのだったら、「いやーん(やりたいの察してよ)」みたいな、昔ながらのやりかたでなく(そして、昔だったら、「やりたいの察してよ」と言うのもダメで、「やって欲しいの察してよ」と言う感覚だったのでしょうね}、「やりたい」と言えばいい。女性だって、男性がアプローチしてくれるのを待っているだけでなく。やりたいのだったら、自主的に男性にアプローチして、自主的に、私はこうしたいのだけど、と言えばいい。

「いやん」的女性のイメージはポルノなどに多いですけど、本当に嫌だから嫌と言っている女性が多いことを忘れないで下さい。

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