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あなたの健康百科 by メディカルトリビューン

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BMI正常なのに死亡リスク「肥満」の2倍、カギは腹部肥満

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米研究

 身長と体重から割り出せるBMI(body mass index)は、肥満度を測る簡単な方法として健診などさまざまな場面で使われている。正常値の「普通体重」は「肥満」よりも生活習慣病にかかりにくいとされているが、「普通体重」なのに「肥満」よりも死亡する危険性が高まるケースがあることが、米メイヨークリニックのカリーヌ・サハキアン助教らの研究によって分かった。そのカギを握るのは、脂肪がおなかに集中している「腹部肥満」、いわゆる”ぽっこりおなか”だ。腹部肥満を抱える人ではBMIが正常値でも、死亡リスクが腹部肥満ないBMI「肥満」の人の2倍以上だったという。詳細は、11月10日発行の米国医師会誌「Annals of Internal Medicine」(電子版)に掲載されている。

BMIとは?

 BMIは「肥満指数」「体格指数」とも呼ばれており、体重(キロ)÷身長(メートル)÷身長(メートル)から算出できる。肥満学会の基準では、18.5以下が「低体重」、18.5~25未満が「普通体重」、25以上が「肥満(1~4度)」。「普通体重」の中でも特に22は「適正体重」とされており、統計学的に最も病気にかかりにくいといわれている。例えば身長160センチの場合、体重55キロくらいが「適正」だ。

 こうして簡単に計算できるため、世界的にも広く使われているBMIだが、脂肪とそれより重いとされる筋肉の割合が全く考慮されていないため、それぞれの病気になる危険性を正確に表していないとの指摘もある。身長に対する体重が「普通」の範囲内でも、体脂肪率が男性で25%以上、女性で30%以上の”隠れ肥満”が発見できないのだ。

 また、同じ肥満でも体形によって病気になる危険度が変わり、皮下脂肪が多い「洋ナシ型(皮下脂肪型肥満)」に比べ、内臓脂肪が多い「リンゴ型(内臓脂肪型肥満)」は生活習慣病にかかりやすい”悪性肥満”といわれている。こうした体形についても、BMIの数値からだけでは判断できない。

 なお、腹部肥満度を測るのに、日本では単におなか周りを測って男性85センチ以上、女性90センチ以上とされているが、より正確に測るために「ウエスト・ヒップ比(WHR)」という計算方法が使われている。おなか周り(ウエスト、センチ)÷腰周り(ヒップ、センチ)で割り出され、この数値が高いほど”おなかぽっこり度”も高くなる。WHO(世界保健機関)の基準では、男性で0.9以上、女性で0.85以上が「腹部肥満」だ。

「普通体重+腹部肥満」は最悪の組み合わせ

 サハキアン助教らは今回、1988~94年に行われた米国の国民保健栄養調査(NHANES Ⅲ)から18~90歳の男女1万5,184人(平均年齢45歳、女性52.3%)のデータを抜き出し、平均で14.3年間の追跡調査を行った。対象者のBMIは、「普通体重」が6,062人(39.9%)、「肥満(1度)」が5,249人(34.6%)、「肥満(2度)」以上が3,873人(25.1%)。全体の7割(1万655人)が、WHO基準の「腹部肥満」だった。

 追跡調査の結果を分析したところ、「普通体重+腹部肥満」に該当する男性は、死亡する危険度が「普通体重+腹部肥満なし」の1.87倍で、「肥満(1度)+腹部肥満なし」の2.24倍、「肥満(2度)以上+腹部肥満なし」の2.42倍だった。

 女性でも、「普通体重+腹部肥満」の死亡リスクは、「普通体重+腹部肥満なし」の1.48倍、「肥満(1度)+腹部肥満なし」1.40倍、「肥満(2度)以上+腹部肥満なし」の1.32倍だった。

 また、男女ともに全ての年齢層で、腹部肥満が軽い人ほど5年後や10年後の生存率が高かったという。

BMIのみの肥満評価は限界

 肥満は心臓病などさまざまな病気のおおもととなっており、それを予防することが重要となる。しかし、米国などでは学会を定めるガイドライン(指針)でもBMIの値を重視し、BMIが正常値でも腹部肥満の人の予防は優先にされていない。それどころか、BMIが正常値の人は、肥満に関連する病気のリスクはないと見なされているという。WHRの測定も推奨していないようだ。

 ところが、今回の結果からは、こうした人こそ死亡する危険性が高いことが分かった。サハキアン助教らは「今回の結果は、重要な意味を持つ可能性がある」とコメント。「今後の研究では、BMI値が正常でも腹部肥満になる原因の特定や、BMI値が正常の腹部肥満が健康に及ぼす影響について検討すべき」としている。

 この論文を評価したカナダ・ラバル大学薬学部のポール・ポワリエ教授らは、同日付の同誌(電子版)で「BMIの有用性は証明されているが、BMIだけで肥満を評価するには限界がある。今回の結果は、BMI以外も検討すべきというエビデンス(根拠)を提供するもの」と指摘。さらに「WHRは簡単で信頼できる腹部肥満の尺度だが、使用頻度は低い。ウエスト・身長比の方が測定が容易な可能性があり、性別や人種とは無関係という利点もある」と提案している。

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kenkohyakka

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