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原隆也記者のてんかん記

闘病記

てんかん患者と運転のリスク

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 2回目の発作に触れる前に、東京・池袋と宮崎市の自動車事故で、運転していた容疑者2人がてんかんによる意識障害と認定されたことを受けて、改めててんかん患者と自動車運転について考えたいと思います。

 始めに私の立場ですが、報道に携わる者として中立であるところを、患者だから擁護に回るのか、という指摘があるかもしれません。それは以前にコラム「てんかん患者と自動車運転」を執筆した際や、この連載を始めるにあたっても考えた部分です。しかし、患者になったことで分かったこと、見えてきたことがあります。

 そもそもこの病気にならなければ、恐らくてんかんについて関心を持たなかったでしょう。そこで、知ったことを伝えるのも取材者の責務だと思いました。

 私の場合も含め、発作を起こす要因の多くは、寝不足と疲労です。これらの要因を避け、服薬を欠かさないことで、運転中に発作を起こす危険性を下げられます。考えてみれば、健常な人でも寝不足と疲労は居眠り運転につながり事故の危険を高めるので、避けるのは当然と言えます。

 また、一つの指標として、発作のない期間を経過すれば、リスクは低下します。警察庁の委託調査で、てんかんの患者が事故を起こす危険度を調べたところ、全ドライバーの平均を1とした場合、発作が1年起きていない人では1.23倍、2年で1.16倍、3年で1.09倍と年数を減るにつれて低下しました。20歳代男性の1.7倍や65歳以上の高齢者の1.53倍よりも低くなっています。

 車の運転には誰しも事故のリスクが伴います。運転中に発作の可能性があるてんかんの患者は一層責任が重くなります。それだけに、寝不足や服薬を欠かした状態で運転し、発作で事故を起こした個人は、罪が重くなり、裁かれます。それが法治国家であり、病気に罪があるわけではありません。

 専門医によると、てんかんは誰でも発症する可能性があるそうです。実際、先ほどの調査では、てんかんの患者で免許を所有あるいは過去に所有していた人330人のうち、運転中に発作を起こしたことがある人は39人で、初めての発作が運転中だったケースが7件ありました。つまり、てんかんと「無関係」「大丈夫」と思っていた人にも、レアケースとは言え、突然、発作が襲ってくることがあり得ます。事実、私もそうでした。これらも踏まえて、現在健常者の方にもてんかんの患者と運転について考えてもらえればと思います。

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原隆也記者のてんかん記_201511_120px

原隆也(はら・りゅうや)
1974年、長野県出身。南アルプスと中央アルプスに囲まれた自然豊かな環境で育つ。1998年、読売新聞入社。千葉、金沢、横浜支局などを経て2014年9月から医療部。臓器移植や感染症、生活習慣病などを担当している。趣味は水泳、シュノーケリング。

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