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食材理解、好き嫌い減らす
楽しい食卓で安心感、調理に参加させ興味
子どもに食べ物の好き嫌いがあると、栄養が偏ったり、大人になって困ったりするのではないかと心配になる。どうすれば、無理なく好き嫌いを減らせるだろうか。
タキイ種苗(京都市)が7月に行った調査では、子どもが嫌いな野菜の第1位はピーマン、2位がゴーヤ、3位はトマトだった。いずれも苦みや酸味が特徴の野菜だ。
こうした好き嫌いの傾向について、味覚心理学が専門の関西国際大教授、堀尾強さんは「苦みや酸味を嫌うのは本能的なもの」と説明する。動物が苦みや酸味といった刺激を避けるのは危険から身を守ろうとする行為で、生物として自然な反応だという。
このほか、食べたらおなかが痛くなったという体験がきっかけになり、その食材を嫌いになることもある。
好き嫌いを減らしていくには「いろいろな食べ物、食べ方を経験することが大事」と、堀尾さんは話す。最近の研究では、小さい頃から様々なものを口にしてきた子どもほど、より多種類の食べものを取れることがわかってきた。できる範囲で多様な食材をテーブルに載せたい。
その際、親が心配しすぎたり強制したりするのは逆効果。プレッシャーを感じ、余計に食べられなくなってしまうからだ。堀尾さんは「神経質にならず、楽しく食事をしましょう」と話す。周囲がおいしそうに食べていると、つられて苦手だったものが食べられるようになることもある。
「子どもは、自分がよく知らないものは食べないもの。嫌いな食べ物を減らすには、食材について理解させる仕掛けが必要です」。こう指摘するのは、子ども向けの料理教室「キッズキッチン」を主宰する料理研究家、坂本廣子さんだ。
坂本さんは、食材との「出会い直し」を勧める。子どもに調理前の食材を見せたり、触らせたり、においをかがせたりする。食材に対して新鮮な興味を抱くことが、苦手意識を取り去るきっかけになるという。
調理にも挑戦させたい。食材が料理として食卓に上るまでの過程に自分が関わることで、食材への抵抗感が減り、口にしてみたいという気持ちが生まれる。
盛りつけも子ども自身にさせるといい。たとえ少なく盛っても口出しはせず、食べきったらほめよう。自信が育まれ、次につながる。
苦手なものを細かく切り刻んでほかの食材に混ぜ、食べ終えてから知らせる手法は、親への不信感につながりかねないため勧められない。「子どもを信頼し、自分から食べてみようと思う時を待ってほしい」
好き嫌いがあると、栄養がきちんと取れているかが心配になるが、坂本さんは「ほかの食べ物からでも同じ栄養は取れる。焦らないで」と助言する。偏食が極端に激しく、体調に問題がある場合は、地域の保健師やかかりつけの小児科医に相談しよう。
好き嫌いを減らすポイント
・小さい頃から、いろいろなものを食べる経験を重ねる
・嫌いな食材は調理前のものを見せて触らせたり、自分で調理させたりする
・自分で盛りつけもさせて、量が少なくても食べきったらほめる
・嫌いなものを強制せず、楽しく食べる雰囲気を作る
・自分から食べようとするまで待つ
(堀尾さん、坂本さんの話を基に作成)
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