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国内初の慢性E型肝炎、輸血で感染…肝移植患者で2人

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17大学病院の1,651人を調査―厚労省研究班調査

 ウイルス性肝炎の中でも、一過性で慢性化しないとされていたE型肝炎。しかし近年、特に欧州で臓器移植後に慢性化する人が増えているという。日本での実態は不明だったが、筑波大学医学医療系の大城幸雄講師(消化器外科・臓器移植外科)を中心とする厚生労働省研究班は10月28日、全国17大学病院で肝移植を受けた1,651人を調べた結果、2人の慢性E型肝炎患者が国内で初めて確認したと発表した。いずれも輸血で感染したという。この結果は、9月21日発行の科学誌「EBioMedicine」(電子版)にも掲載されている。

E型肝炎とは?

 ウイルス性肝炎の一種で、E型肝炎ウイルス(HEV)に感染することで発症する。B型肝炎やC型肝炎が主に血液から感染するのに対し、E型肝炎はA型肝炎と同じくウイルスに感染した食べ物や水を口にすることで感染する。国内では豚やイノシシ、シカなどの肉や内臓を生で食べることが原因の大半で、発展途上国など衛生状況の悪い国では汚染された水を飲んで感染するケースが多い。

 また、B型肝炎やC型肝炎が慢性化しやすいのに対し、E型肝炎はA型肝炎と同じく一過性で、慢性化することがないとされていた。自覚症状がないまま感染が収まる場合が多く、発症する場合は発熱や倦怠けんたい感、食欲不振、黄疸など、急性A型肝炎と似た症状が現れるという。特に妊婦は重症化しやすいといわれており、注意が必要だ。

 こうして慢性化することがないとされていたE型肝炎だが、免疫が落ちている患者ではB型肝炎やC型肝炎と同じく慢性化する可能性が指摘され始めた。なお、現時点では感染予防のためのワクチンは存在しない。

輸血で感染

 大城講師ら研究班は今回、筑波大学病院を含む全国17の大学病院で肝移植を受けた患者1,893人から採血し、血液の中のE型肝炎ウイルスの抗体の量、ウイルス遺伝子の量を測定した。

 ウイルス遺伝子量が測定できた1,651人のうち、2人(0.12%)が陽性で、肝移植の後に慢性的なE型肝炎に進行したことが分かった。さらなる調査(ウイルスの遺伝子型解析)で、2人とも輸血で感染したことも判明したという。

 移植された臓器への反応を抑えるため、移植を受けた患者には免疫抑制剤が使われているが、こうした患者では持続的な感染が起こりやすいと報告されている。そう考えると、慢性化しやすいのは今回の調査対象だった肝移植患者に限らないことになる。そのため研究班は、腎移植や心移植の患者に対象を広げ、調査を続けていくとしている。

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kenkohyakka

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