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あなたの健康百科 by メディカルトリビューン

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レム睡眠の意義が初めて明らかに、記憶や脳発達を促進か

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筑波大&理研の動物実験

 浅い眠りで夢を見る「レム睡眠」は、今から60年以上前に発見されたが、その役割はいまだに謎という。筑波大学国際統合睡眠医科学機構の林悠助教らは、理化学研究所脳科学総合研究センターと共同で、レム睡眠には「デルタ波」と呼ばれる記憶形成や脳機能回復の作用がある脳波を誘発させる役割があり、レム睡眠が脳の発達や学習に関わる可能性があることを発見したと、10月22日発行の米科学誌「Science」(電子版)に報告した。

ノンレム睡眠中に脳発達促すデルタ波強まる

 人は睡眠中に、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」を繰り返す。レム睡眠とは、体は眠っているものの脳が活動している状態で、まぶたの下の眼球が活発に動く。この動きをレム(REM=急速眼球運動)という。レム睡眠があるのは、複雑な脳を持つ哺乳類と鳥類だけとされている。

 林助教らは今回、遺伝子操作技術を使って、マウスのレム睡眠とノンレム睡眠を切り替える役割がある神経細胞を発見。”睡眠のスイッチ”ともいえるこの神経細胞を自由に操れるマウスをつくり、レム睡眠を強めたり弱めたりすることでレム睡眠の効果を調べた。

 その結果、レム睡眠をなくされたマウスではノンレム睡眠中のデルタ波が徐々に弱まり、逆にレム睡眠を増やしたマウスではデルタ波が強まることが分かった。デルタ波はノンレム睡眠中に発生しやすい脳波で、神経細胞同士をつなぐ構造であるシナプスを強め、学習や記憶を定着させる効果があるとされている。

 今回の研究では、レム睡眠はノンレム睡眠中にデルタ波を誘発させ、脳の発達や学習などに貢献する可能性が示された。

 レム睡眠は、脳の発達が盛んな新生児期に多く、アルツハイマー病やうつ病、睡眠時無呼吸症候群の患者は睡眠中にデルタ波が弱まるとされている。これらの病気では、レム睡眠の低下による脳機能の低下が考えられているようだ。今後は、レム睡眠の異常とその他の症状との関係を調べることで、これらの病気のメカニズムの理解や治療法の開発などが期待される。

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