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Dr.徳田の「総合診療の出番です」

からだコラム

[Dr.徳田の「総合診療の出番です」]ひらめく「スナップ診断」

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 総合診療には「スナップ診断」という言葉があります。様々な病気の症状が頭に入っていると、特徴のある症状を見ただけでスナップ写真を撮影するかのようにぱっと診断できることがあるのです。

 70歳代男性は、2週間前から毎晩何度も着替えるほどの寝汗をかいているとのことで、紹介となりました。検査では原因不明とのことでした。

 ひどい寝汗は、体温が上昇する「発熱」という現象とほぼ同じような原因を探る必要がでてきます。このような時、総合診療医はまず、感染症の可能性を考えます。

 よくある感染症の症状を問診で拾い上げることからスタート。気道感染ならせき、消化器感染なら下痢、尿路感染なら残尿感などの特定の臓器の症状がないか聞いていきます。男性への問診では明らかな臓器症状はありませんでした。

 こんな時はやはり診察です。私は手から始めることにしています。手にはさまざまな情報が隠れています。男性の手を観察すると、指にあかい発疹があり、爪には出血の跡が線状に残っていました。

 この時点で、ある疾患の診断を考えます。それは感染性心内膜炎です。心臓の血液の流れを調整する弁という部分に細菌が感染して付着、いぼのような形を作って増殖するものです。弁を破壊するだけでなく、菌を含んだ塊がはがれ、全身の細い血管を詰まらせて、出血させることもあります。

 心臓の聴診では弁の逆流を意味する雑音が聴かれました。超音波検査で大動脈弁にいぼ状の病変がみつかり、血液培養で原因菌が検出されました。抗菌薬の注射で良くなった男性はその後、寝汗もなくなったと、外来に笑顔で元気な姿を見せてくれました。患者さんの病気が治って感謝される時は本当にうれしいですね。(徳田安春・地域医療機能推進機構顧問)

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