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性とパートナーシップ

妊娠・育児・性の悩み

夫婦生活拒否され「心折れた」男性、子猫に救われる

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 その変わりように家族は戸惑いながらも、全員すぐに「いいね。飼おうよ」と賛成しました。妻は早速、殺処分を免れた子猫や子犬の里親探しをしているNPOを見つけてきました。休日に、家族4人で見に行き、おとなしくてかわいいメスの子猫を選びました。1週間のお試し期間終了後、子猫は正式に家族の「末娘」として迎え入れられました。

 インターネットで姓名判断をして、名字に合う「まり」(仮名)という女の子の名前を付け、男性の部屋で面倒を見ることにしました。しょっちゅうおなかを下していた子猫を病院に連れて行き、臭いのきつい猫のトイレの掃除を黙々と行う「お父さん」の姿に、家族もこれまでの男性と違う雰囲気を感じ、親しみが増したようでした。

 温かい子猫の体を抱きしめると、男性は気持ちが癒やされるのを感じました。とても優しい気持ちになれるような気がしました。普段、子猫は自分の好きなように振る舞っていますが、気が向くと、餌をくれる「お父さん」である男性にすり寄ってきて、確かに自分を求めてくれるのです。それは小さなことのようですが、長年妻に拒否され続けてきた男性にとって、甘く、たまらない喜びでした。

 さらに、事務連絡以外、ほとんど会話がなくなっていた家族に、「娘」を通じて会話が戻ってきたのは、うれしく、大きなおまけでした。

 妻は、子猫のいる男性の部屋を訪れては、子猫に向けた形で、子供たちのトラブルについて愚痴を漏らすようになりました。

 「あれだけ一生懸命育てたのに、子育て、どこで間違っちゃったんだろうねえ、まりちゃん」。久しく夫婦で、たわいもないことを語り合う時間はありませんでした。男性は内心驚きながら、「そうだねえ、まりちゃん。お母さん、すごく頑張ったのにねえ」と、やはり子猫に語りかけます。

 「子猫がいなかったらそんな会話は交わしていなかったと思います。そもそも、最近では夫婦2人きりで長い時間、同じ部屋にいることがなかったんです。それはやはりうれしかった」

 子猫が来てから、2か月がたち、男性は自分の心の中に小さな変化が生まれたことを感じています。

 「猫で癒やされて、それですべて解決するわけではないのですが、この子のためにおもちゃやいろいろ買ってあげたい。でもお金がなくちゃ買ってあげられないから、やはり働かなくちゃいけないかなと思っています。やはり、私は癒やしてくれる誰かのためになりたいというのが、働くこと、生きることの原動力のようです。少し前までは妻のために働いていましたが、仕事でつらくても癒やしてくれる存在としての妻がいなくなってしまって、働く気力がなくなっていました。でも、今は『末娘』のためにもう一度頑張ろうという気分になっています。また、『末娘』のおかげで優しい気持ちになれて、妻や2人の子供たちのためにも頑張れるような気がします」

 男性は取材を受けてくれた後、数か月ぶりに復職プログラムに復帰するそうです。性とパートナーシップでのコメントはすべて読んだといいますが、ほかの人の声を聞くことは、男性にどのような影響を与えたと言えるのでしょうか。

 「子猫の件以外に、すごく影響を受けたコメントがあるかといえばそうではないのですが、男性も女性もこれほど幅広い性格、考え方の人がいるんだなとわかったことで、たまたま自分の妻は、こういう性格だったんだ、それなら仕方ないと少しあきらめがつきました。自分はそれまで、互いに求め合って、愛を確かめ合うのがセックスであり、パートナーシップの築き方だと思っていましたが、それは映画やドラマの中のこと。いろいろな考え方や色々な体質の女性がいるのだと、この場でコメントや記事を読むことでよくわかったんです」

 そのうえで、今、違う「パートナーシップ」の形があるのではないかと、思い描き始めているといいます。

 「かつての私は、自分が外で働き、妻が家事や育児を分担してくれる、そして互いにつらい時は、癒やし合うという形のパートナーシップを思い描いていました。セックスはその絆を強めるもの、つながりをスムーズにする潤滑油のようなものだと思っていました。専業主婦を選んだ妻がいまさら外で働くのはコストパフォーマンスも悪いし、自分は仕事を必死にするのだから、家事や育児はある程度任せていいのだと思っていたんです。でも、自分が働けなくなり、妻がパートで家計の一部を支えてくれる形になった今、『私たちは家族だから、家族を守るという共通の目標に向けて協力する』というパートナーシップもあるのだと思うようになりました。妻は家事に仕事にフル回転で私を支援してくれており、今では、これが妻の愛情なんだと感じられるようになりました。セックスを受け入れられない人もいるならば、それにこだわりすぎてはいけない。ただ、セックスレスを許容するということは私の愛情であることをわかって欲しいなと思います。家族は私の大切な財産ですから、それを自分のこだわりで壊したくない。すべては埋められなくても、その寂しさは猫が埋めてくれるのかもしれません」

◆◆◆

 いかがでしたでしょうか? 完全にすっきり納得したというわけではないようですが、皆様のコメントのおかげもあって、新たな一歩を踏み出しているようです。皆様の感想をぜひお送り下さい。

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9件 のコメント

この男性の気持ちがわかります

ef

私は夫から拒否された側の妻ですが・・・ 犬や猫の存在がなかったら 夫と和やかに会話することは無理だったかもしれません。 優しく可愛い甘えん坊の猫...

私は夫から拒否された側の妻ですが・・・
犬や猫の存在がなかったら
夫と和やかに会話することは無理だったかもしれません。
優しく可愛い甘えん坊の猫に救われる毎日です。

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離婚してもいいと思います。旦那の風俗通いを許しますか?そんな事ないでしょう。
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私はとても驚いています。男性の気持ちを知ったのは初めてです。私が男性から聞いた事は、奥様を女性として見れない、もう家族だから出来ない、その気にならない、という話ばかりでした。若い愛人を作る男性、隙あらば浮気ばかりしている男性ばかりでしたよ。むしろレスで悩み苦しんでいる女性達が多かったですよ。ビックリです。私には、奥様がどうしてレスになってしまうのか分かりません。中部地方の男性に共感します。あなたのこの気持ちが奥様に伝わっていないのでしょうか?とっても不思議です。愛情が溢れているのに何故なのか。不思議で仕方ないです。夫婦って本当に分かりにくいのですねーなんだか切なくなりました。私はSEX依存症なので、相手に負担が掛かると困るので男性と接触していません。接触して病気を移してもいけないので関わらないようにしています。あーなんだかとても切ないです。お二人に希望の光を。

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