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イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常

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「○○を食べれば健康になる」の信憑性

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 今日は、食べ物のお話。つまり先日公表された、「ハムやソーセージ『発がん性ある』…WHO外部組織が認定」 という記事の続きです。

 この報道は、「○○を食べれば健康になる」と言ったバラエティー番組に登場するような信憑しんぴょう性のない報告とは桁違いに医学的な根拠に基づいています。それも世界保健機関という国連の専門機関からの発表です。そして論文は、英文一流誌であるLancet Oncology誌に掲載されました。そこで多くの方から僕の食事について質問されました。今日はそんな僕の食卓のお話をします。医学的根拠があまりあるとも言えず、それでも僕はこんな食事をしているというお話です。

「体にいい」と言われていても…

 まず、僕は生きていることはある程度のリスクを抱えていると思っています。食事に関して言えば、すべて口に入る物は危険性をはらんでいる可能性があると思っています。植物や動物を頂いているのです。植物や動物も好んで食べられたい訳はないでしょう。ですから、いつもそんなおもいで食べ物は頂いています。一方で、極端な食事は危険だと思っています。つまり「○○が体にいいから」と、○○だけを極端に多量に食べる食生活です。今正しいと思われていることが、本当に正しいかは実は分からないのです。医療は進歩しています。ですから、将来的にいろいろなことが判明します。つまり、今日、体にいいと思われている○○も、将来的には体に悪いことも有り得るのです。ですから、僕はバランス良く食べることが健康の秘訣ひけつではないかと思っています。

炭水化物、食べない方がいいのか?

 まずバランスで大切なものは炭水化物です。炭水化物とは糖質で、主食の米、パン、パスタ、うどん、そば、ラーメンなどはみんな炭水化物です。そして甘いもの、つまり砂糖入りの清涼飲料水、もちろんデザートも、そして果物も実は炭水化物なのです。そして、炭水化物は近年、あまりにも多すぎます。つまり、りすぎです。僕は極端な炭水化物制限主義者ではありませんが、炭水化物はなるべく摂らないようにしています。でもまったく食べないのではありません。ご飯も半分ぐらいは頂きますし、たまには、ラーメンやそば、うどんも食べますよ。好物のひとつですから。不要なときには食べないというスタンスでいるのです。デザートも果物も食べますよ。でも、特別に食べたいときだけです。一方で、甘い清涼飲料水は一切飲みません。コーヒーも紅茶もストレートにしています。そんなところで砂糖を摂るぐらいなら美味おいしいデザートを頂きたいのです。

安価で高栄養、卵は毎日3個以上

 最近はたんぱく質を積極的に摂るようにしています。まず大豆類です。毎日豆腐、納豆、そして豆乳は頂いています。卵は3個以上食べるように心がけています。卵の摂取と血中コレステロール値の上昇とは基本的に無関係という認識がやっと広まりました。卵は安くて完全栄養の食材ですからね。完全栄養とは、卵からひよこがそのままできるということです。卵はすごいではないですか。鶏肉や魚も頂きます。魚は青魚が良いのでしょうが、赤身も食べます。たまにはトロも頂きます。そして牛肉や豚肉も食べますよ。週に2回ぐらいでしょうか。トライアスロンの練習の後などは、無性に肉が食べたくなります。お酒は基本的に飲みませんが、まれにワインや梅酒を飲みます。人には糖質を含まない蒸留酒、つまり焼酎やウイスキーがいいとお話ししますが、僕はアルコールが強くないので、糖質を含んでいる醸造酒であるワインや梅酒を少々飲んでいます。間食はできるかぎりしないようにしています。でもチョコレートも甘納豆も葛餅も、マカロンも食べますよ。だって美味しいですからね。でも、「食べ過ぎは体に悪いよな」と思いながら頂いています。

「加工肉に発がん性」の信憑性

 そんなバランスを重視する僕の食生活ですから、今回、「加工肉で発がん性が増大」と報道されても、今まで通りに食べていますよ。ホットドッグもベーコンも、たまには食べていますね。ただ、毎日食べることは以前からもしないし、これからもしないと思います。僕が英国のオックスフォード大学に留学した約20年前は狂牛病でイギリス全体が震え上がっていました。食肉から狂牛病が引き起こされるかもしれないと危惧されていたのです。ですから、スーパーの肉はとっても安かったですよ。僕は昔から、少々の危険は承知で生きているので、その極端に安い(通常は高価な)ステーキ肉をたくさん頂きましたよ。良い想い出ですね。今回の報道はWHOが世界に向けて発信したものです。日本は加工肉の消費量も少なく、特段の問題はないと思っています。また国立がん研究センターも、「日本人の平均的な摂取の範囲であれば影響はないか、あっても小さい」とコメントしています。

 人それぞれが、少しでも幸せになれますように。

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知りたい!_20131107イグ・ノベーベル賞 新見正則さん(1)写真01

新見正則(にいみ まさのり)

 帝京大医学部准教授

 1959年、京都生まれ。85年、慶応義塾大医学部卒業。93年から英国オックスフォード大に留学し、98年から帝京大医学部外科。専門は血管外科、移植免疫学、東洋医学、スポーツ医学など幅広い。2013年9月に、マウスにオペラ「椿姫」を聴かせると移植した心臓が長持ちする研究でイグ・ノーベル賞受賞。主な著書に「死ぬならボケずにガンがいい」 (新潮社)、「患者必読 医者の僕がやっとわかったこと」 (朝日新聞出版社)、「誰でもぴんぴん生きられる―健康のカギを握る『レジリエンス』とは何か?」 (サンマーク出版)、「西洋医がすすめる漢方」 (新潮選書)など。トライアスロンに挑むスポーツマンでもある。

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