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Dr.徳田の「総合診療の出番です」

からだコラム

[Dr.徳田の「総合診療の出番です」]神経梅毒も認知症の原因に

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 総合内科外来の日には多くの紹介患者さんが受診します。60歳代男性の紹介状には「若年性アルツハイマー病疑い」と記載されていました。数か月前から認知機能が低下しているとのことでした。

 高齢化で爆発的に増えている認知症。一番多いのはアルツハイマー病ですが、詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていません。

 男性は認知症の薬を服用していましたが、あまり効果が出ていないとのこと。認知症が進行してきており、薬の効果があまりみられないので、他の原因がないかどうかを診てほしいという家族の希望で紹介受診となったのです。

 認知症の原因はアルツハイマー病だけではありません。脳梗塞による認知症や、レビー小体型認知症などの患者もかなりの割合で認められます。なかには、「治療可能な」認知症もあり、手術で良くなる可能性のある慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症、脳腫瘍や、内科的な原因によるものもあります。

 もちろん、紹介元の病院ではさまざまな検査がすでに行われていました。脳のMRI検査、一般的な血液生化学検査などが行われていましたが、これらの検査に異常はなかったとのことでした。

 丁寧な問診と全身の診察を開始。男性の瞳孔にペンライトの光を当てると、正常なら縮むはずの反応がありませんでした。これは「アーガイル・ロバートソン瞳孔」と呼ばれる所見で、梅毒を起こす菌が神経に感染する「神経梅毒」などを示唆します。これも認知症の重要な原因の一つです。

 髄液と血液検査で神経梅毒が確定しました。男性は抗生物質の注射を受け、認知機能は徐々に回復しました。丁寧な診察は、MRIなどの進んだ画像検査でみつからなかった原因を診断する鍵を探り当てることがあるのです。(徳田安春・地域医療機能推進機構顧問)

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