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「肝臓鍛えられる」「一眠りで抜ける」…飲酒の常識?
飲酒運転の根絶を目指す福岡市のNPO法人「はぁとスペース」(山本美也子代表)は、飲酒が体に及ぼす影響をまとめた冊子「お酒知っとこ情報」を作った。
アルコール依存症患者の支援に取り組む看護師らが発案。
飲酒にまつわる嫌がらせ「アルハラ」(アルコール・ハラスメント)にあたる行為も盛り込み、お酒との上手な付き合い方を身に付けてもらいたい考えだ。
中心となったのは精神科病院で約20年間、アルコール依存症患者を支援し、今年から同法人で働く看護師の高田和久さん(53)(福岡県直方市)。年齢を問わず、「飲むほど肝臓は鍛えられる」「一眠りすれば酒は抜ける」といった誤った考えを持つ患者が多いことが気になっており、若い頃からの教育の必要性を痛感していた。
冊子はA5判10ページ。脳がアルコールでまひし、「ほろ酔い」「
酒を飲む場合だけでなく、酒を勧める時の注意点も明記した。「体質的に飲めない人なんていない」など「アルハラ」に該当する考え方や「一気飲み」を強要すると刑事罰の対象になることなども盛り込んでいる。
内容は専門医のチェックを受け、学校でも使えるようにイラストを多用した。
県指定自動車学校協会(福岡市)の助成を受け、約3万部を作成。加盟する自動車学校や、飲酒運転の男によるひき逃げ事故で長男を亡くした山本代表が中学、高校で講演する際に配布している。高田さんは「誤った飲酒で将来を失う前に正しい知識を得て、飲んだら乗らないよう徹底してほしい」と呼びかけている。
同法人は、アルコール依存症の人や家族からの相談を受け付け、冊子は希望者に無料で配布している。問い合わせや相談は、平日の午前10時~午後4時、専用窓口(092・609・9110)へ。(橋谷信吾)
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お酒知っとこ情報のポイント
▽日本人の約4割は酒に弱い体質
▽肝臓が小さな女性は男性より短期間でアルコール依存症になる
▽ビール3杯分のアルコール分解に12時間かかる
▽飲酒の強要はアルハラ
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