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Dr.徳田の「総合診療の出番です」

からだコラム

[Dr.徳田の「総合診療の出番です」]基本は「全身を丁寧に」

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 野球中に左足を骨折して整形外科病院に入院した40歳代男性。手術を受け、経過は順調でした。しかし数日後、入院中のある夜に熱が出てショック状態になり、総合内科のある我々の病院へ転院となったのです。

 前の病院での診断は、傷口の感染症。整形外科チームが再手術で傷を徹底的に洗浄することになりました。同時に、他の可能性をチェックするため、我々総合内科チームも相談を受けました。

 医学で言う「ショック状態」とは、血圧が低下して重要な臓器への血流が悪くなり、臓器の働きが悪くなるものです。重度の脱水や出血でもショックになりますが、発熱している時は感染症によるショックを疑います。

 全身を入念に診ていくと、左右の手足や目の結膜、口の中などの皮膚と粘膜がうすく赤くなっていることがわかりました。

 「これは毒素性ショック症候群」と診断した我々は直ちに整形外科チームへ連絡し、バンコマイシンという新しい抗生物質の追加投与などの助言をしました。この症候群は、傷口などから侵入したブドウ球菌などの毒素が血流に乗って体中を回り、ショックを起こし、皮膚は赤くなります。

 適切な抗生物質の投与と傷の洗浄手術を受けた男性の病状は順調に回復していきました。その後の検査結果で、手術時に提出された傷口の組織液から、毒素を作るブドウ球菌であることが判明しました。バンコマイシン以外があまり効かない種類の菌でした。

 全身を丁寧に診察する。このことは身体診察の基本です。丁寧な診察で、検査ではわからない決定的に重要な所見を見つけ出すことがあります。男性は元気に退院し、今も野球を楽しんでいるとお聞きしています。(徳田安春・地域医療機能推進機構顧問)

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