気になる社会保障Q&A
医療・健康・介護のニュース・解説
Q 子育て支援って何があるの?
県立高校2年。
国や自治体が出産・医療費
Q 結婚した友達のお姉さんの妊娠が分かって、来年、赤ちゃんが生まれるんだって。私も将来、そんな日が来るのかなあ。
A 喜ばしいことだね。
Q でも、色々と準備しなきゃいけなくて大変らしいんだ。特に、お金のことを心配していた。病院でお医者さんに診てもらわなくちゃいけないし、産むときもお金がかかるんでしょう?
A あなたが風邪を引いて病院で診てもらうとき、かかった費用の一部を窓口で支払うだけで済むよね。でも、妊娠や出産にかかるお金は、原則として公的な医療保険制度の対象外となっている。つまり、全額が自己負担なんだ。
Q えっ、そうなの? 病院にかかるのに?
A 「妊娠や出産は病気ではない」という理由からなんだ。ただし、負担を少しでも軽くするために、国や自治体などが様々な支援の仕組みを用意している。
Q へえ。
A たとえば、妊娠が分かったあとに病院で定期的に受ける「妊婦健診」の費用を援助する制度がある。国のお金でまかなわれていて、出産まで14回分以上もらえることになっている。金額は自治体によって違うけど、平均で計約9万9000円。母子健康手帳と一緒に役所の窓口で書類をもらい、申請するのが通例だ。
Q 出産のときは? お金が高いって聞いたけど。
A 出産費用は、母子ともに健康な場合でも、平均で50万円近くかかるから、「出産育児一時金」が用意されている。会社員が加入する健康保険組合や、自営業者などが入る国民健康保険などが、出産費用を補助する制度だ。金額は、子ども1人につき基本的に42万円。妊婦さんが事前に準備するお金が少なくて済むよう、病院に直接支給されるケースも増えている。
また、幼い子どもは病気にかかりやすい。そこで、各自治体は医療費を補助する制度を設けている。金額や対象となる年齢は住んでいる市区町村によってまちまちで、なかには中学校を卒業するまで医療費をゼロにしているところもある。
Q そういえば、子ども手当って聞いたことある。
A それはまた別の仕組みだね。今は「児童手当」というけど、子どもの成長を社会全体で支えるために国や自治体、事業主がお金を出し合う制度だ。一定以上の所得がある世帯を除いて、3歳未満は1人につき月1万5000円、中学校卒業までは月1万円が支給される。3人目以降は金額が少し増える。
Q ふーん。いろいろとお金がもらえるんだね。
A ほかにも、子ども2~3人を同時に幼稚園や保育所に通わせる場合、利用料を安くする制度もある。基本的に、2番目の子は半額、3番目の子以降は無料。ただし、対象期間が決まっていて、幼稚園は3歳から小学3年生まで、保育所なら0歳から5歳までの6年間に、2人以上が通っている世帯が対象となる。これも自治体によって異なるので確認が必要だ。
Q これだけ支えがあれば安心して産めるのかな。
A 確かに様々な支援があって、充実もしてきている。でも、国が出すお金や公的サービスは、他の先進国と比べると決して多いわけではないんだ。2014年度の国の調査では、子育てについて6割以上の人が「経済的にやっていけるか不安」と答えているよ。
Q もっと必要なんだね。
A 日本の少子化は国にとっての重要課題なんだ。このまま出生率が上がらないと、働き手が減って経済活動が弱まり、年金や医療保険など皆で支え合う仕組みもうまくいかなくなる恐れがある。安倍首相も先月、新たな経済政策として子育て支援の推進を表明している。どんな支援策が示されるのか、注目しておこう。
(手嶋由梨)
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