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原記者の「医療・福祉のツボ」

コラム

貧困と生活保護(13) 持ち家でも保護は可能、車は状況しだい

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 生活保護制度については、いろいろと誤解が多く、福祉事務所の職員の中にも間違った説明をする人がけっこういるので、困ったものです。

 そのひとつが「持ち家だと、生活保護を受けられない」というもの。そんなことはありません。持ち家に住んでいるときは、処分価値が著しく大きい場合を除き、保有が認められます。

 「自動車を持っていたらダメ」と言われることもありますが、昔と違って、一律にダメではありません。クルマについて、かなり厳しいのは確かですが、以前に比べると保有を認められる範囲は広がってきました。障害者の通勤・通院、公共交通の著しく不便な地域での通勤・通院、求職活動に必要な場合などは、条件つきでマイカーを使えます。過去に「保護か車か」の選択になって生活保護をあきらめていた人も、再検討してみる余地があるかもしれません。

持ち家は、そのまま住めるのが原則

 アパート・マンション・借家・公営住宅などの場合、家賃や地代は住宅扶助の対象です。住宅扶助の上限額は地域ごとに、世帯人数に応じて厚生労働省が決めています。

 それを超す家賃でも、生活扶助の中から自分でやりくりして負担することは許されるので、「家賃が高いから、先に引っ越さないと保護できない」という説明は間違いです。ただし、その状態が長く続く場合は、最低生活費を圧迫するので、住み慣れた住居から引っ越すことによって生活上の問題が生じる事情がなければ、転居を指導されます(転居に必要な費用は生活保護から出る)。

 では、持ち家はどうでしょうか。住まいは生活に必要なものなので、現に居住している不動産は、生活保護を受けても保有を認めるのが原則です。最低生活の維持のために資産を活用しているという解釈です。生活保護の要件である「資産の活用」は、売ることだけではないわけです。

売却を検討する目安は?

 持ち家の売却処分を求められるのは「処分価値が利用価値に比べて著しく大きい」ときです。それにあたるかどうかは、福祉事務所がケース診断会議などを開いて検討します。

 厚労省が示している検討の目安は「標準3人世帯の生活扶助基準額と住宅扶助の特別基準額を合わせた額のおよそ10年分」です。標準3人世帯とは、30代・20代の夫婦と4歳の子の3人暮らし。その福祉事務所の担当地域で最も高い基準額を用いて計算します。

 地域差がありますが、2000万~3000万円ぐらいになります。不動産の価値は、固定資産税評価額(実勢価格の7割ぐらい)で見積もるのが一般的なようです。これを目安に、ほかの事情も考慮して、売るべきかどうかを総合的に判断します。

 住宅の価格は昔より下がったので、大都市でも、小さな家なら売らずに済むでしょう。生活に困ったときは、あわてて家を売るより、生活保護を考えたほうが賢明かもしれません。

 農業を含めた事業用の土地も、保有を認めるのが原則です。田畑は、現に耕作しているか、おおむね3年以内に耕作する見込みがあるときは、処分価値が著しく大きい場合や必要以上に広い場合を除いて、保有を認められます。山林の利用も同様です。

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原昌平20140903_300

原昌平(はら・しょうへい)

読売新聞大阪本社編集委員。
1982年、京都大学理学部卒、読売新聞大阪本社に入社。京都支局、社会部、 科学部デスクを経て2010年から編集委員。1996年以降、医療と社会保障を中心に取材。精神保健福祉士。社会福祉学修士(大阪府立大学大学院)。大阪に生まれ、ずっと関西に住んでいる。好きなものは山歩き、温泉、料理、SFなど。編集した本に「大事典 これでわかる!医療のしくみ」(中公新書ラクレ)など。

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