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宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

「産後うつ」対策、さらに考えました

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運動会で親子ダンスをする私と娘

 週末より妊娠32週、9か月に入りました。妊娠糖尿病の血糖コントロールのためにインスリンを使い始め、それなりにいろんなものを食べるようになったのですが、今のところ妊娠前からプラス2キロ。腕の筋力が落ちてきた気がします。前回の妊娠ではこのくらいの週数だともうちょっと元気だったのですが、寝付けないし、午前中はすぐに息切れとめまいがするし、結構つらいです。もともと体力にだけは自信があったのですが、とにかく疲れやすくて活動性が落ちています。

 先週末に娘の幼稚園で運動会がありました。早朝から場所取り合戦があったようなのですが、私は優先席に座らせていただいて最前列で観覧しました。来年は早起きしなくてはいけません。娘は親子ダンスでとてもうれしそうに私と一緒に踊ってくれました。

産後うつについて書いたブログに反響続々

 先週の、「第2子出産を前に、産後うつが心配です」という記事には当事者の方を中心に結構、反響をいただきました。こちらのブログにいただいたコメントの中にも、自治体の補助を受けて少ない経済的負担で産後ケア入院や家事・育児サービスを利用することができて助かったという体験談をいただきましたが、自治体によってはかなり手厚いサービスを提供している所もあるようです。

 過労によってうつ病を発症した場合、カウンセリングや薬物による治療を併用したとしても、仕事量を減らしたり休養したりすることが必須であることは誰しもピンとくるだろうと思います。それと同じように、産後うつはホルモンの変化や作業量の過多、睡眠不足など、ある程度、原因が分かりやすいものですから、育児家事の負担を軽減し、母親を休ませることで多くの人のリスク要因を下げられると思います。

 これらにかかる人件費を利用者が全額負担するとなると利用したくても出来ない人が大半になってしまうと思いますので、意識の高い自治体が増えていくことを期待します。実際に手厚いサービスを行っている自治体では利用者が多く人気だとのことですので、需要はかなりあると思います。ちなみに私が住んでいる区の制度ではそのようなサービスを一部自己負担で10回程度受けられるという案内プリントを母子手帳交付時にもらいました。10回だと週に2~3回来てもらうと約1か月で使い切ってしまうので、その数倍あるといいのですが……。

質が問われるカウンセリングや精神科受診

 助産師・保健師・医師(小児科・産婦人科)によるカウンセリングや精神科・心療内科受診については、それが育児家事の負担を軽減するものではありませんので、単独ですっきり解決するというものではないと思いますが(育児家事の合間に都合をつけて受診するという負担もバカになりませんし)、自殺のような悲劇的な結末にたどりかねない例を拾い上げたり、危機意識に欠ける夫や家族(本人も)に対し、医療従事者から説明してもらったりするということに一定の意義があると思います。しかし、産後うつについてあまり意識が高くない医療従事者に当たってしまったり、根性論や「心得」を「アドバイス」されてしまったりしては逆効果なので、医療従事者の質が問われるところだと思います。

3世帯同居推進、不可能な人への育児支援も

 先日、少子化対策のために国が3世帯同居を進める方針だと報道されていました。これについては、有村治子前少子化担当大臣のもとで開かれていた有識者会議で言われていたものですが、現時点で母親の実家もしくは夫の家族に育児家事を支援してもらえるかどうかというのは、かなり明暗を分けていると思います。核家族化が孤独な育児を招いた要因であることは間違いないので、3世帯同居というアイデアは一理あるとは思いますが、誰もが親という資源を使える訳ではありません。親がいなかったり折り合いが悪かったり、健康状態や経済状態が悪かったり、きょうだいが多かったりする場合には「3世帯同居は非現実的」という人も多いでしょう。3世帯同居のコンセプトは分かりますが、親という資源が使えない人の育児支援も同様に推進していただきたいと有識者会議では発言しました。

 なんやかんや第2子が生まれた後もいろんな人にSOSを出したり甘えたりしながらやっていくつもりではありますが、不安は尽きません。とりあえず自治体のサービスに事前登録しておこうと思います。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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8件 のコメント

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振り返れば産後うつでした

ぼっちママ

今2歳の子供がいますが、産後1年を過ぎるまでの自分を振り返ってみると、やはりメンタルにかなり支障をきたしていたなぁ、と思います。私の場合は、高齢...

今2歳の子供がいますが、産後1年を過ぎるまでの自分を振り返ってみると、やはりメンタルにかなり支障をきたしていたなぁ、と思います。
私の場合は、高齢妊娠の様々なトラブル--糖尿もありました--と、母乳育児の乳房トラブル、親世代との育児感のギャップ、夫の転職による経済不安などなど、産前産後のあらゆることが精神を蝕んでいったように思います。
追い詰められて何度も死を考えましたが、周囲に理解されることもなく、公共機関にサポートしてもらうこともありませんでした。
なんとか生き延びて今は落ち着いてきましたが、2人目を出産する勇気はありません。
孤独な母親達をサポートする仕組みが出来ることを心から願っています。
3世代同居は却って母親を追い詰める場合もあると思うので、必ずしも良い方法ではないと思います。

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三世代同居なんて……

てんちゃ

私は嫌です!両親が自分の言うことを聞いてくれるんならいいですけど、そうでない家族は沢山います。祖父母が育児に手出し口出しして家庭を滅茶苦茶にして...

私は嫌です!

両親が自分の言うことを聞いてくれるんならいいですけど、そうでない家族は沢山います。

祖父母が育児に手出し口出しして家庭を滅茶苦茶にしてしまったり、子供の成長に悪影響を与えている例など、よく耳目に入って来ます。

うちの両親も義実家の人達もなかなか酷いですよ。

子供にポテトチップスをわんこそば早食い競争みたいな感じで止めどなく食べさせてしまう。
言い聞かせれば分かる様な事をいきなりブッ飛ばして怒鳴り付ける。
食事中ずっと横について、あれこれ手取り足取り世話し過ぎる。
よその子と一々比べては貶す。
身体的な特徴をあげつらい嘲笑う。
子供達が何か粗相すればお前の躾が悪いからだっ!と罵倒に次ぐ罵倒。

たまにしか会いませんが苦痛です。

同居したくない理由、挙げればキリがありません。

まだ結婚する前の実家住の時も、結婚してからの義実家の近距離住みの時も、追い込まれて毎日死ぬことばかり考えていました。

諸般の事情で両家から離れた処に引っ越してからは超快適です。あんなに死にたかったのが嘘みたいに性格が明るくなりましたし、結婚して数年ずっと出来なかった子供にも転居直後にあっさり恵まれて幸せです!

育児には近所にある子育て支援センターが役に立っています。

ストレス与える家族なんかより公的機関の方が頼れますね。

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ファミリーサポート

みき

二歳男児を1人育児中です。仕事の都合、子のケアのために、市のファミリーサポートを月に何度か受けています。産前は育児がこんなに大変と知らずいろんな...

二歳男児を1人育児中です。
仕事の都合、子のケアのために、市のファミリーサポートを月に何度か受けています。
産前は育児がこんなに大変と知らず
いろんなサポートを探してもおらず
産後に探しました。
最初の紹介者はあまり印象が良くなく
二歳になり、再度紹介して頂きよいかたにお願いできました。
おっぱいのことと一緒で、こんなに産後に苦労すると知らず、妊娠中に知りたかった。
いまは、妊娠中の、核家族には必要性をうったえてます!

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