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日野原重明の100歳からの人生

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まもなく104歳…平均寿命と「死をどう生きたか」を考えた

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 金木犀きんもくせいのほのかな香りがどこからともなく漂ってきます。あの暑い夏も過ぎ去り、あたりはすっかり秋の気配です。

 9月21日は敬老の日、新聞やテレビでは日本では100歳以上の人が6万人を超えたことを報じていました。世界保健機関(WHO)が発表した「世界保健統計」によると、WHO加盟国194か国のうち、2013年の平均寿命は、日本人男女が84歳で世界一であるのに比べ、西アフリカのシエラレオネは最も短い46歳と報告されています。大体、アフリカの国々の平均寿命は50~60歳代、アジアの国々は60~70歳代前半というところが多いようです。ちなみに米国は79歳で34位、中国は75歳で68位、世界全体の平均値は71歳と報告されています。

 私は1911年の生まれで、私の青年期の1935年の平均寿命は男46.92歳、女49.63歳でした。日本だけでなく、ほとんどの国で寿命が延びているのは喜ばしいことだと思います。

 ところで、皆さんは9月20日に放送されたNHKスペシャル「老衰死」をご覧になりましたか。出演された石飛幸三先生(東京・世田谷区立特別養護老人ホーム「芦花ホーム」医師)は、かねて老衰による安らかな最期を“平穏死”と名づけ、命の限界まで生ききった人たちは、人間として穏やかな最期が訪れると語っておられます。石飛先生には私が理事長を務める一般財団法人ライフ・プランニング・センターでも何度かお話しいただきましたし、12月2日に東京・八王子市で行う「新老人の会」設立15周年記念フォーラムでも「新しい看取みとり文化のために」と題する講演をお願いしています。

 日本人に与えられた長寿という恵みは、もちろん医療の進歩をはじめ、社会インフラの整備が進み、生活環境が整ったことが大きく影響していますが、何よりも評価すべきなのは「この70年間、日本人は戦争によって青年や子どもたちが命を失うことがなかった」ということではないでしょうか。私たちはこの事実を強く世界の国々に発信していく必要があります。

 2011年3月の東日本大震災では2万人近くの死者・行方不明者がありましたし、つい先日も連続して来襲した台風によって東北や北関東では大きな被害がありました。日本は世界有数の自然災害大国ともいわれますが、みんなが力と知恵とお金を出し合って復興への取り組みが進んでいます。残念ながら命を落とされた人たちにも、いずれは立ち直った姿を見せることができるはずです。生きているものの命に限りがあるのは自明のことですが、その命をどのように用いるか、そして命を終えた人たちをどのように心の中に留めおくかが、命の価値ではないかと思えるのです。

 私が32年前に書いた「死をどう生きたか 私の心に残る人びと」(中公新書)が、近く中公文庫になります。間もなく104歳を迎える私が30年前の自分に再び出会うような面映おもはゆい思いがあります。その一方でまったく変わっていない自分の姿をそこかしこに発見して、当時の自分が生き生きとした姿でよみがえってきました。

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日野原重明ブログ_顔120_120

日野原重明(ひのはら・しげあき)

誕生日:
1911年10月4日
聖路加国際病院名誉院長
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