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医療部発

医療・健康・介護のコラム

【追悼・黒木奈々さん】病状悪化後も捨てなかった「復帰への希望」

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32歳の若さで亡くなった黒木奈々さん

 まだ32歳の報道番組キャスター、黒木奈々さんが9月19日、亡くなった。身長172センチの容姿だけでなく、ソフトな物腰、努力家で英語やフランス語も堪能な国際派として、将来が期待されていた。

 若過ぎる死を多くの方が惜しんだ。私にとってはさらに、あまりに急な死であり、悲しく思っている。黒木さんに7月7日、所属事務所で2時間、お会いしたからだ。読売新聞の木曜日夕刊のこころ面「一病息災」の連載取材で、胃がんの闘病とこれまでの人生を語ってもらった。

 前日は月曜日で、黒木さんは午後10時から、いつも通りキャスターとしてNHKBS1の報道番組に生出演した。それから半日後なので、疲れていないかと心配したが、いつもの笑顔で迎えてくれた。そして、私の質問に丁寧に答えてくれた。苦しい闘病のことに話が及ぶたびに目もとが潤み、涙をこらえているのがわかった。

 「胃の全摘出手術を経験した自分だから、これからは闘病の現実を伝えていきたい」

 「(闘病のため、番組出演回数が減ったことについて)回数より、番組に長く出続けられることが大事だと考えています」

 結婚についての記者の無粋な質問には、少しはにかみながら、「家庭をつくり、子どもも欲しい。私のすべてを受け入れてくれる人がいれば、ですが」と答えてくれた。この時、黒木さんは2か月半後に迫っていた自分の死を、全く予感してはいなかっただろう。

 初めは4回の連載にするつもりだった。でも、黒木さんがいろいろなことを語ってくれたので、7回の連載にした。若くしてがんと闘った人の貴重な資料となるので、きちんと書き残しておきたいと思ったからだ。痛み、抗がん剤の副作用、味覚障害、その証言は本当に生々しかった。

 黒木さんは翌週(7月13日)も番組出演したが、これが最後となってしまった。7月30日の連載が始まる直前から番組を休んだので、胸騒ぎがしたのを覚えている。私の原稿を最初に見たデスク(医療部次長)が、「毎回、泣くシーンが出てくるね」と感想をもらした。黒木さんの「涙」から若年がん患者の苦しみ、悩み、感激を伝えたい私の意図を読み取ってくれた。

 連載が始まると、大きな反響を呼んだ。読売新聞の読者だけでなく、このヨミドクターでも過去最多の読者を集めた。これまで黒木さんを知らなかった人も、たくさん読んでくれたようだ。

 黒木さんは病室で、連載の掲載紙をよく読んでいたという。しかし、がんはリンパ節に転移し、病状は想像も出来ない速さで急変してしまった。

 私は9月10日の最終回の原稿を、掲載直前で一部差し替えることにした。キャスターを務める報道番組を、今は療養のため休んでいるが、「再び復帰する日を目指している」と加えた。

 黒木さんを再取材することは出来ないが、番組再復帰を目標に一番苦しい闘いを繰り広げていただろう黒木さんの気持ちを伝えたかったからだ。所属事務所を通じて、病床の黒木さんの了解を得ることが出来た。

 ヨミドクターにも最終回が9月17日に配信された。さらに多くの方に読んでいただいた。だが、そのわずか2日後、黒木さんは逝ってしまった。

 9月19日はまさに1年前、胃の全摘出手術を受けた運命の日だった。

 

【追悼】報道番組キャスター 黒木奈々さんの胃がん闘病

 

斉藤勝久

社会部などを経て、1994年に半年ほど、医療部の前身の「健康・医療問題取材班」。この後、読売光と愛の事業団事務局長、読売・日本テレビ文化センター横浜センター長などを経て、2013年9月から医療部。健康・医療情報の連載「元気なう」なども担当。

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医療部発12最終300-300

読売新聞東京本社編集局 医療部

1997年に、医療分野を専門に取材する部署としてスタート。2013年4月に部の名称が「医療情報部」から「医療部」に変りました。長期連載「医療ルネサンス」の反響などについて、医療部の記者が交替で執筆します。

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10件 のコメント

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本当に、理想的な女性だった。

Dragon

黒木奈々さんは、正に私の好みのタイプの女性でした。172cmと長身で、スタイルが良く、美人でなおかつ知的な女性で、この広い世の中に、ここまで完璧...

黒木奈々さんは、正に私の好みのタイプの女性でした。172cmと長身で、スタイルが良く、美人でなおかつ知的な女性で、この広い世の中に、ここまで完璧な女性はそう居ないと思います。本当に、私にとって理想的な女性でした。まだ32歳という若さで癌で亡くなられ、私自身も非常に残念な限りです。遺影に使用された黒木奈々さんの写真は、本当に笑顔が眩しかった...

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本当に悲しいです

奈々さん 外國人 ファン

私は韓国人です。私は日本語をよく分かりません。2014年2月日本TVを見たが、ワールドWaveを見て奈々さんのファンになりました。私は日本語をよ...

私は韓国人です。私は日本語をよく分かりません。2014年2月日本TVを見たが、ワールドWaveを見て奈々さんのファンになりました。
私は日本語をよく知らないが、奈々さんの放送を見ながら日本語も学んでまた奈々さんの美しい姿が本当に良かったです。
事実、国際報道だから理解しやすかったです。 日本だけでなく、韓国、アメリカ、中国、ロシアなど全世界のニュースを放送してくれるプログラムだったから私は他の日本プログラムより理解しやすかったです
実は韓国関連ニュースは韓国より北朝鮮のニュースが多かったです。
ワールドWaveと国際報道を見た時、私は本当に楽しかったです。
奈々さんは本当に身近なアナウンサーだったです。 視聴者たちに近づくために努力したアナウンサーでした。
奈々氏の微笑みは本当に美しく、奈々さんのスマイルは私を幸せにしました。
しかし、奈々さんが癌にかかったというニュースを知って私は本当に衝撃を受けました。
2015年2月今日nanaさんの誕生日だったが、nanaさがないという現実がさらに悲しくてnanaさんが本当に見てみたいです。さんが戻った時、私は嬉しかったです。例え、月曜日だけ見ることができたが、奈々さんを会えるという思いに私は本当に幸せでした
しかし、7月末から奈々さんを見ることができない、私はこの前奈々さんが天国に行くことになったことを分かるようになりました。
私は奈々さんが天国に行ったことを分かるようになった後私は泣いたし、私に大きな衝撃であり、悲しいことでした。 今も奈々さんが見たいです。
今日奈々さの誕生日だったが、奈々さがないという現実が本当に悲しくてまた奈々さが本当に見てみたいです。
今日は奈々さんの誕生日だったが、今日に限って奈々さんが懐かしいです。

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闘病記を見て

奈々さんファン

黒木奈々さんが執筆された闘病記を拝見して胃の全摘手術、抗がん剤治療と闘病の苦しみに耐え念願のキャスター復帰が叶いこれからという時の突然の訃報に信...

黒木奈々さんが執筆された闘病記を拝見して胃の全摘手術、抗がん剤治療と闘病の苦しみに耐え念願のキャスター復帰が叶いこれからという時の突然の訃報に信じられない思いとあんなに頑張っていたのに神様は酷い事をすると…涙が止まりませんでした。闘病記では幾度となく悲しみ、苦しみ…しかしその都度前を向き頑張っている姿が文面からひしひしと伝わって来ました。苦労をして掴んだメインキャスターとしてこれから大きく翔くであろうと思っていた矢先の事でした。でも奈々さんは最後まで人に伝える仕事であるキャスターを命懸けで全うしました。これは多くのがん患者のみならず、多くの人々に勇気と力を与えてくれたと思います。今は天国でメインキャスターとして、美しい女性として楽しく有意義な時間を過ごしている事と思います。最後に心より御冥福をお祈り致します。

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