医療部発
医療・健康・介護のコラム
てんかん患者と自動車運転
東京・池袋で8月16日夜、暴走車に通行人がはねられ5人が死傷する重大事故が起きました。運転していた医師は、てんかんの持病がありました。事故の原因がてんかんの発作によるものなのかは明らかにはなっていませんが、患者を始め関係者に大きな衝撃を与えています。
今回の事故で思い起こされるのは、4年前に栃木県鹿沼市で起きた事故です。小学生6人が、てんかんの発作で意識を失った運転手のクレーン車にはねられ死亡する大変痛ましい事故でした。運転手は以前にも自動車運転中の発作で複数回事故を起こし、医師からも運転を止められていました。また、免許の取得・更新時に持病を申告していませんでした。
この事故をきっかけに、てんかんなど意識を失う持病による事故の厳罰化と無申告での免許の取得・更新に罰則が設けられました。
それでは、厳罰化が悲惨な事故への抑止力になっているのでしょうか。てんかんの専門医や患者団体は効果を否定し、逆に「隠れて運転し、さらに重大な事故が増える」と反対しています。
公共交通機関が不十分な地域では、移動手段として自動車は欠かせません。患者団体が昨年、患者や保護者などに行ったアンケートでは、運転できなくて困ることとして、買い物などの日常生活が3割、通勤・通学に2割、商用・仕事に1割の順で挙がりました。また、事故の厳罰化後、6割が差別や偏見が強まったと感じ、4割は厳罰化で解決しない、と答えています。
そもそも、てんかんの患者の治療は、脳神経外科なのか神経内科なのか精神科なのか診療科がはっきりせず、専門の医療機関以外では診療体制も貧弱という困難な状態に置かれています。
本紙には読者の健康相談に専門医が回答するコーナーがあり、てんかんについての質問も寄せられます。その中には、「免許を失効し、仕事も見つかるのか不安のどん底」と苦しむ声もあります。
先のアンケートでは8割近い患者が「病気を正しく理解してくれる社会」を望んでいます。厳罰化よりも先に、てんかんの診療体制が整備され、患者が生きやすい社会が実現されるべきだったのではないでしょうか。
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原隆也(はら・りゅうや) |
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てんかんだろうが飲酒だろうが居眠りだろうが不注意だろうが、
事故を起こした場合は厳罰化、ならわかります。
理由が単なる居眠りや不注意のときは、名前がつくような病気で事故を起こすより罪が軽い、というのはおかしいと思いますので。
居眠りや不注意になるような状態で運転をするのは、病気の人が服薬をおこたって運転するのと同じだと思います。
運転中のスマホ操作が原因で大事故、が報道されたら、スマホ運転厳罰化に皆、賛成するのでしょうか。
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中学生の時に後遺症で、てんかんと診断されました。
てんかん患者がおこした事故はたくさんニュースで流れますから、この病気がとても悪いみたいになりますが、健康な方がおこす事故の方が多いのではといつも思ってしまいます。
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てんかん関連のHPを見ても重症ばかりが記載されていて、「薬でコントロール出来ている患者」がどのような生活を送っているかは分からず、誤解されてもしょうがないと思います。
私の症状はネットで紹介されている例のどれにも当てはまりません。軽すぎるからです。発作は手術でなくなりました。知能にも一切影響はありません。
薬を飲み忘れても、飲んだ事を忘れて2倍の量服用しても、一晩中お酒を飲んでも、徹夜をしても、喫煙しても、症状に影響はありません。
運転できる体調かどうかはてんかんに関係なく、その時の判断です。
私の日常で起こるてんかんの症状は、「前兆」と言われるもので、数秒間気分が悪くなるだけです。車を運転していても、MTの中型二輪を運転していても、仕事でお金の勘定をしていても、包丁を持って料理していても、プールにいても、駅のホームの端にいても、なにも問題ありません。
私の希望は、自身のてんかんの根治、そして、世間のてんかんへの偏見がなくなることです。
薬で発作をコントロール出来ても問題は解決しません。
「偏見がなくなるなら根治しなくていい」とさえ思ってしまいます。
軽い症状の私にできることは、周りの人達に病名を隠さないこと、また、自分の行動に制限をかけすぎないことだと思っています。なので、車もバイクも利用します。
もし、自分にてんかんを疑う方がいたら、周囲の差別によって結果を恐れ、検査を拒んでしまうかもしれません。それが色んな人の命に関わります。
これは、差別と偏見が生み出す犠牲だと思います。
みんなが正しい認識をすれば犠牲は減ると私は思います。
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