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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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暑い夏は野菜で乗り切りましょう

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 「どんな野菜でも、一年中あると思っている人が多くなったの」と、わたしのクリニックの近所にある八百屋のおかみさんが嘆いておいででした。最近は、夏に冬の野菜がないか、冬に夏の野菜がないか、と尋ねる人が増えているのだそうです。

 夏野菜の代表選手であるトマトやキュウリも、一年を通して手に入る野菜になりました。農業技術が進歩して、野菜の旬の時期はだんだんとなくなってきています。海外からの輸入野菜も増え、一年を通して欲しい野菜が手に入るようになりました。

 体調管理を考えると、それぞれの季節に合わせて、旬の野菜をとることは大切なポイントになります。漢方医学では春夏秋冬、それぞれの季節の野菜には役割があるとされています。

 夏野菜は、暑い夏を乗り切るために、必要な成分を含んでいると考えられています。夏野菜には「体を冷やす作用」がありますので、この猛暑の中、夏バテ予防には最適です。しかし、寒い冬に夏野菜をたくさんとってしまうと、体調を崩す原因になります。それぞれの季節の野菜の特性を知ることで、季節ごとの健康管理ができるようになります。

 夏は、日差しが強く、暑い時期です。直射日光に当たり、ばてている体は、熱射病にならないように水分を必要としています。夏野菜にはキュウリ、ナス、ピーマン、トマトなどがあります。最近では、どれも一年中手に入る野菜です。しかし、ウリ科の植物であるキュウリは、とうがん、スイカ、ゴーヤなどの仲間です。昔、たわしに使われたヘチマも仲間です。ウリ科の野菜は、水分を豊富に含んでいるのが特長です。また、カリウムも含むため、塩分と水分を体の外に出す作用が期待できます。お年寄りや、心臓が悪く足がむくむ人には、必要な野菜のひとつです。

 ナス科の植物であるナスは、ピーマン、トマトなどの仲間です。ナス科の植物は、ビタミンやミネラルなどの栄養が豊富に含まれていますが、注意しなくてはいけないことがあります。それは、ソラニンという物質です。学校の調理実習で、ジャガイモの芽には毒があるので取り除くように指導されたことがありませんか。実は、ジャガイモもナス科の植物です。ナス科の植物の多くは、ソラニンを含んでいます。

 このソラニンは、神経に作用する毒です。ソラニンによる中毒症状は、数時間後に表れる、口渇こうかつ、興奮、幻覚、けいれん、頻脈、発熱などの症状と、12時間後に表れる、嘔吐おうと、下痢、腹痛、頭痛、徐脈、溶血作用、中枢抑制、呼吸困難などがあります。

 ソラニンをとらないようにするためには、太陽光に当たって緑色になったジャガイモの芽、未熟なジャガイモの皮の緑色の部分、未熟なトマトなどを食べるのは避けることです。ソラニンは水に溶けますので、水にさらしたり、煮込んだりすれば、毒性がなくなります。

 夏の季節、水分不足になるのを予防するため、ウリ科の植物を積極的にとることが大切です。そして、ナス科の植物で、不足がちになるビタミンやミネラルを効率よく補うことです。

 残暑厳しい中、どうか、夏野菜を沢山たくさん食べて、元気で明るい毎日をお過ごしくださいね。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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1件 のコメント

季節のもの

ちびまる子

今津先生のおっしゃる遠り、季節のものをいただくことは理にかなっていますし、何より美味しい。私の住む東海岸では大きなファームから道端の小さなファー...

今津先生のおっしゃる遠り、季節のものをいただくことは理にかなっていますし、何より美味しい。
私の住む東海岸では大きなファームから道端の小さなファームが近所にいくつかあり、便利です。無造作に並べられた台の上には採れたての野菜が並んでます。
隣の畑から運ばれてきたところを買うことができます。まさに路地ものです。
もぎたては味が濃くて、懐かしくて。洋風にも和風でもいただきます。特に夏はきゅうりやナスを梅、しそ、みょうが、といっしょにさっぱりといただくと、暑さも忘れてしまいます。
冷房に頼らずに、季節を感じながら快適に過ごしたいものです。

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