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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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暑い夏だからこそお腹を冷やさないように注意しましょう

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 毎日、暑い日が続きます。汗を一杯かいた後に、冷たい飲み物をグッと一気したときの爽快感はたまらないものです。しかし、冷たい物ばかりを飲んでいると、おなかを冷やし、体調が悪くなってしまいます。

温かい料理を先に胃腸へ入れることがポイント

 暑い時期に、お腹を冷やさないようにするためのポイントは、食事の順番です。

 世界遺産になった和食を例に取ります。日本料理は、バランスがとれていて、低カロリー食です。油を使う量も少なく、魚中心の料理となります。健康管理に心がけている人にとっては、理想的な食事スタイルだと思います。日本料理の代表的なコースを考えてみましょう。

 長い伝統に裏打ちされた和食が持つ、知識と経験は、すばらしいものです。懐石料理では「飯・汁・向付、煮物、焼物、預け鉢、吸物、八寸、湯と香の物、菓子」という順番で運ばれます。最初に出される料理は、温かい料理「飯・汁・向付」です。

 一品一品をみれば、温かい飯、温かい汁のつぎに、野菜のえ物やおひたしといった冷たい向付が、選ばれることがあります。温かい料理ばかりでなく、冷たい料理も組み合わされています。この組み合わせを考えると「飯・汁・向付」全体としては、温かい料理となります。

 次から、温かい「煮物」、温かい「焼物」と続きます。「預け鉢」は、炊き合わせや酢の物といった冷たい料理が選ばれます。そして、温かい「吸物」、冷たい「八寸」、温かい「湯」と冷たい「香の物」と続きます。そして、最後に「菓子」です。いかがでしょうか?

 温かい料理と冷たい料理のバランスが、わかっていただけたと思います。

 日本料理をみてみると、非常に合理的で、バランス感覚に優れ、身体からだに優しく、健康管理には、最適な料理だということがわかります。日本料理の神髄をうまく取り入れて、日常の健康管理にかしていきたいものです。しかし、現実には毎食、コース料理を食べ続けることは、なかなか難しいと思います。

まずは胃腸を守ること

 胃腸を冷やさないためには、最初に口にする料理に温かい料理を選ぶことです。胃腸は、温度によって働きが変わります。胃腸は、温度が下がると働きも低下し、温度が上がると働きも活発になります。身体を温める栄養素を効率よく吸収するためには、胃腸を冷やさないようにすることが大切です。

 夏の暑い日、よく冷えたビールを一気に飲み干し、「これが生きがいだ」というサラリーマンのお父さんにとっては、耳に痛い話です。しかし、健康管理のためには、温かいものを先に胃腸に入れておく必要があります。

 一度冷え切ってしまった胃腸を再び、回復させるには時間と手間がかかります。美味おいしいビールを飲む30分前におつまみを一口食べておくなど対策をとっておくといいでしょう。

 暑い夏、みなさんが、元気で健康な毎日をお過ごしになりますように、心からお祈りしております。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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