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動き出す予防医療

からだコラム

[動き出す予防医療]専門医の十分な説明不可欠

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 私たちには、自分がどんな医療を受けるかに関する自己決定権があります。とはいえ、専門知識がないのに、自分ひとりで医療について決定することは到底できません。この点において、患者さんから医療の委託をうけた医師は、医師が行う医療行為に対する説明義務を負っているわけです。特に、遺伝情報を取り扱う場合、あいまいな知識を頼りに自己決定をするのは大変危険です。

 残念ながら、現在の一般向け遺伝子テストのサービスでは、結果について専門の医師から十分な説明を受けられないことがあります。電話で相談できるところもあるようですが、十分な説明を受けられるのかは疑問に思います。

 遺伝子検査に基づいて乳腺および卵巣の予防的切除を受けた米国の女優アンジェリーナ・ジョリーさんの主治医によると、本人が手術を決断するまでには繰り返し面談を行ったといいます。疾患のリスクの意味、手術に伴うリスク、子供たちへの影響などを説明し、よく理解し納得した上で決断したそうです。これほど大きな決断が必要な場面は一般向け遺伝子テストでは生じないかもしれません。それでも、書き換えのできない遺伝情報に基づいてリスクを調べる以上、しっかりとしたカウンセリング体制は絶対に必要です。

 かかりつけ医師に相談するにしても、その先生が臨床遺伝学の専門医とは限りませんし、忙しい診察時間の中で、遺伝子テストの結果を丁寧に説明するのは不可能でしょう。予防医療に役立つものとなるには、遺伝情報の分析から結果の通知、遺伝カウンセリングまでが一体となったサービスとして提供されることが必須です。サービス全体のあり方が改善していくことを期待しています。(林崎良英・理化学研究所プログラムディレクター)

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