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国立国際医療研究センター市民公開講座 ~糖尿病の明日を考える~

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[国立国際医療研究センター市民公開講座 ~糖尿病の明日を考える~](1)糖尿病を治る病気に

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 国立国際医療研究センター(NCGM)の市民公開講座「糖尿病の明日を考える」(読売新聞東京本社共催)が6月28日、東京都千代田区のよみうり大手町ホールで開かれ、約380人が参加した。世界的に患者が増えている糖尿病について理解を深めてもらうのが目的で、同センターの専門家4人が病気の原因から最新の治療と研究までを解説した。パネルディスカッションでは、作家の室井佑月さんを交えて、糖尿病医療について話し合った。(司会は、南砂・読売新聞東京本社調査研究本部長)

主催 国立国際医療研究センター
共催 読売新聞東京本社


 

作家・タレント 室井佑月さん

むろい・ゆづき モデル、女優、レースクイーン、クラブホステスなどを経て1997年に「小説新潮」の「読者による『性の小説』」に入選。テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍中。


体調不良は発症サイン?

 10年ほど前に膵臓すいぞうに腫瘍が見つかり、膵臓の3分の2と脾臓ひぞうをすべて摘出しました。いずれ糖尿病になると言われましたが、血糖値は低い方だったのですっかり忘れていました。

 ところが3年ほど前、具合が悪くなり、加齢のせいと思っていたのですが、検査したところ糖尿病が進んでいるからすぐに治療を受けるよう言われました。特別な症状はなく、風邪が長引いたり、ちょっと足をぶつけると青あざがしばらく消えなかったり。それも薬でかなり良くなりました。

 同年代の女友達が集まると、最近は旅行やファッション、グルメの話に代わって健康の話になってきました。体調不良で更年期外来を受診し始めている友人もいて「更年期外来で(異常が)見つからなくても血液検査で糖尿病を疑え」という話をします。

 糖尿病と分かる前は、すごく痩せてしまい、治療を始めると太り出しました。太るのは嫌だったので自分で調べて、新しく出た薬が糖を尿と一緒に排出して体重を減らす効果があると知り、ぜひ処方してほしいとお医者さんにかけあい、飲み出したら体重は安定しました。


iPS細胞での治療可能

パネリスト(敬称略)
春日 雅人 国立国際医療研究センター 理事長
梶尾 裕  同 糖尿病内分泌代謝科診療科長
安田 和基 同 代謝疾患研究部長
霜田 雅之 同 膵島移植プロジェクト長
植木浩二郎 同 糖尿病研究センター長
室井 佑月 作家・タレント



 室井 親の食生活が子どもに影響しますか。

 安田 お母さんのおなかの中にいる時の栄養状態は、その子どもたちが、大人になってからの病気のなりやすさに関係します。従って、糖尿病では次の世代のためにも食生活に気をつけることが大切です。

司会・南砂 読売新聞東京本社調査研究本部長

  膵臓の、インスリンを出す「膵島」の移植に期待が寄せられます。臓器提供者が少ないのが課題でしょうか。

 霜田 米国の臓器提供者は年間6000人~8000人ですが、日本は100人にも届きません。宗教観や人生観もあり、無理に増やせません。かなり大きな問題です。

  糖尿病を治る病気にしていこうという動きが始まっているわけですね。

 植木 1型は膵島移植で完治が望めるようになっています。2型も薬を飲むこと以外は気にしなくていいぐらいの方向に歩み出しています。

  会場の皆さんから寄せられた質問です。「インスリン注射はやめられますか」

 梶尾 1型の人は注射をやめたら大変な状況になります。2型の人は薬との併用でインスリンの量を少なくしたり、回数を減らせることもあります。主治医に相談してください。

  「膵島移植は2型も適用になりますか。iPS細胞は期待できますか」

 霜田 2型でもインスリンが枯渇した人は受けられます。また、膵臓を全部摘出した人も受けることができます。iPS細胞の治療対象も、最初はインスリンが完全に枯渇して他の治療が難しい人になります。

  「糖尿病だと、がんの発症リスクが高くなりますか。認知症との関係も教えてください」

 植木 糖尿病の人は糖尿病でない人に比べてがんや認知症になる可能性が高いです。肝臓がんや膵臓がんは2倍、大腸がんは1・4倍、がん全体では約2割増と言われています。脳卒中になることも多く、そのために認知症になることは昔から知られていました。最近では、糖尿病予備軍の段階からアルツハイマー型認知症が約2倍増えることも分かっています。いずれも肥満とインスリンが効きにくいことに関係があるようです。

  最後にこれだけは、というメッセージをお願いします。

 室井 膵島移植は初めて聞きました。臓器提供者の数が少ないことも知りました。糖尿病の人たちが病気の話をする、予備軍の人たちも興味を持つことが研究をされている人の後押しをし、新しい研究につながればと思います。

 植木 糖尿病の治療は着実に進歩しています。治療や食事、運動を「こうしたい」と医療スタッフに相談してください。

 霜田 膵島移植は先端的で限られた治療です。将来はできるだけ多くの人に、手軽に受けてもらえる治療にしたいと考えています。

 安田 私たちのゲノムの個人差や病気の体質については、まだ分からないことがたくさんあります。ぜひ、こうした分野の研究が進歩するように協力してください。

 梶尾 患者さんに納得してもらうのが我々の責任です。糖尿病の専門医、開業医と情報を集めて今後の医療に役立てていこうと思います。


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