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予防医学研究者・石川善樹の「続けたくなる健康法」

コラム

なぜ私たちはこれほど疲れているのか

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 改めて近代の歴史を振り返ると、人類は技術の革新と共に歩んできました。

 例えば、古くは蒸気機関の発明に始まり、鉄道の普及、電気・化学・自動車・航空機の出現、そして最近ではITの登場が挙げられます。

 これらの技術革新は、それぞれ長期的な景気向上に貢献し、私たちの生活を豊かなものにしてくれました。

 ……ところが、その結果どうなったかというと、現代の私たちは幸せな気持ちではなく、疲れ果てて一日を終えています。一体どうなっているのでしょうか?

 この不思議な現象について、先日シェフの松嶋啓介さんと話をしていたら、面白いことをおっしゃっていました。

 「現代の人は、体じゃなくて、脳が疲れているんだよね」

 どういうことかというと、昔の料理人は、疲れた体を癒やすため、例えば塩味の利いた料理を提供していたといいます。しかし、今の人は脳が疲れているので、アタマに刺激を与えるような料理を提供しないと「美味うまい!」と思ってもらえないそうです。

 確かに私たちは、あまりに脳を酷使して生活しています。例えば先日、こんな光景を目にしました。

 電車の中で、通学途中であろう女子高生が、携帯電話をいじりながら友達とこんなことをしゃべっていたのです。

 「うわー、LINEで○○からメッセージ来たよ。これ、どう返そう?!」

 そうして返信を悩んでいるうちに、さらに事態は悪化していきます。

 「あ、やばい! △△からのメッセージに返事してなかった。怒ってる……どうしよう?!」

 私はその様子を見ながら、この調子だと学校に着くころにはヘトヘトになって、とても勉強どころではないだろうなと思いました。

 20世紀の心理学者たちは、「人間が一日に使える意志決定の量は限られている」ことを発見しました。つまり、朝、どの服を着ていこうかとか、あるいはLINEでどう返事をしようかと意志決定するたびに、私たちの心はすり減っていくのです。

 そして、一日に許された意志決定を使い果たすと、あとは理性ではなく欲望が私たちを支配するようになります。その結果、余計な買い物をしたり、暴飲暴食をしたり、あるいはイライラして相手につらくあたったりするのです。

 確かに技術革新は、私たちを肉体労働から解放してくれました。しかし、私たちがなさねばならない意志決定は、減るどころか増える一方です。こんな調子では、疲れ果てて一日を終えるのは、当たり前と言えるでしょう。

 では、どうすればよいのでしょうか?!

世界で注目「マインドフルネス」

 最近、世界的に注目されているのが、「マインドフルネス」です。

 携帯やインターネットなどの刺激にふりまわされるのではなく、「今というこの瞬間を生きる」という世界的な動きです。

 「マインドフルネス」とカタカナで言われると難しい気もしますが、要は禅の世界で広く行われてきた瞑想めいそうのことです。例えば、グーグルという会社では、瞑想を社員に教えるプログラムが大人気となっており、それに刺激を受けた様々な会社で取り入れられ始めています。

 瞑想といっても、特に難しい話ではありません。その基本は、次の3つのステップからなっています。

 1) 姿勢を正す

 2) ゆっくりと呼吸する

 3) 一度に一つのことだけに集中する(例:呼吸、食べる、歩く、など)

 これらは、座っていてもできますし、もちろん歩きながらすることもできます。

 私自身、忙しくてイライラしそうになったら、この3つのステップに立ち戻り、リラックスするようにしています。

 ぜひみなさまも、忙しいときほど「マインドフルネス」を心がけてみてはいかがでしょうか?

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予防医学研究者・石川善樹の『続けたくなる健康法』_顔120px

石川善樹(いしかわ よしき)

 予防医学研究者・医学博士。(株)Campus for H共同創業者。1981年 広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学にて博士(医学)取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして、企業や大学と共同研究を行う。専門分野は予防医学、行動科学、機械創造学、マーケティング等。

 著書に「疲れない脳をつくる生活習慣」(プレジデント社)など。最新刊「ノーリバウンド・ダイエット」(なとみみわさんとの共著、法研)が2017年1月19日に発売。

予防医学研究者・石川善樹の「続けたくなる健康法」の一覧を見る

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